クライオポンプ

2012年5月1日更新

クライオポンプは高真空ポンプに分類されるポンプで、成膜工程では最もよく使われるポンプの一つです。これは排気速度がはやいため、高いレベルの真空度を短時間で作ることが出来、また油拡散ポンプで稀に起きる油などの逆流の心配がないため、クリーンな真空を作り出すことが出来ることからです。

特に水に対する排気速度は空気の約3倍とも言われ、真空度を上げていくときに最後まで残ってしまう水に対して強みを持つポンプであることから、排気速度に大きく寄与するといえます。原理としては、気体の分子を急冷させて、凝縮させることで吸着可能な状態にして気体分子を分離し、溜めていく方式の真空ポンプです。気体が絶対零度近くまで冷やされた箇所に触れると、凝縮し吸着するという性質を活かしています。

この溜め込み式であることが唯一の難点といえば難点で、一定のサイクルで溜まった気体を放出するための再生工程が必要となります。ちなみに気体もすべての種類を排気可能です。

超高真空を得ることも可能で、半導体業界や光学業界のみならず、多くの産業用の成膜装置にも使われています。

近年はガラスレンズ等の硝子素材よりも、樹脂やプラスチックレンズなどの基板に対する成膜が増加しています。こうした素材は、真空内でいわば呼吸するがごとく、真空状態になると水を排気し、真空度を高めることを妨害します。こうした水分を放出するタイプの基板との相性は特に良い高真空ポンプといえます。

作動圧力の範囲としては、1から10-9Pa程度となります。

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