鉄とステンレスの違いについて

2012年8月23日更新

ステンレスはSUS(サス)とも呼ばれ、市販されているものだけでも200種類以上のものがあると言われています。ステンは錆びのことで、ステンレスの名が示すとおり、錆びにくい鉄鋼材料の一つとして知られますが、決して錆びないというわけではありません。

ステンレスは、鉄にクロムやニッケルなどを添加して作られる鉄鋼材料の一つで、特殊鋼に分類されます。このクロムもしくはニッケル、あるいはその両方の含有率がステンレスの特性に大きく影響します。多くのステンレスに共通する点としては、このクロムを12%以上含有している鋼という点があげられます。

鉄とステンレスとの違いとは、すなわち、鉄と鋼の違いの事でもあります。ステンレスは鋼の中の特殊鋼に分類されるもので、日常のなかで多くが使われていますが、大別すると次の5つの系統に分かれます。

  • オーステナイト系ステンレス(クロムニッケル系)
  • マルテンサイト系ステンレス(クロム系)
  • フェライト系ステンレス(クロム系)
  • 二相系ステンレス(クロムニッケル系)
  • 析出硬化系ステンレス(クロムニッケル系)

他の鋼に比べても、ステンレスは、錆びにくく、耐熱、耐薬品、耐食性に優れているものと言えるでしょう。ただ、加工する際には、一定以上の力が加わると硬化してしまう「加工硬化」や、さびを防ぐ要因ともなっている、ステンレスの表面の覆う薄い膜「不動態皮膜」に留意する必要があります。ステンレスが錆びにくいのは、この表面を削っても、空気に触れると再びこの膜が再生するからで、加工内容によってはこれが原因で加工しにくくなることがあります。

スポンサーリンク

>「鉄とステンレスの違いについて」の先頭へ

砥石Q&A一覧へ戻る

「鉄とステンレスの違いについて」の関連記事とリンク

リムド鋼
キルド鋼
セミキルド鋼
鉄鋼材料をはじめ、各種材料の機械的性質や特徴、用途など
鉄鋼材料の種類、材料記号について
ステンレス研磨用砥石(鏡面研磨仕上げ)
ステンレス鋼(SUS)の種類にJIS規格はありますか?
ステンレス鋼(SUS)の表面処理、表面仕上げの種類について:JIS規格、ANSI
ステンレスの酸化皮膜、不動態皮膜とは何ですか?
ステンレス鋼材(SUS)の種類、成分、特性など(外部サイト)
日本の鉄鋼メーカーの一覧
世界の鉄鋼メーカー(粗鋼)の一覧

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集