IP67とIP68の違い

2019年9月28日更新

IP67とIP68はいずれもIPコードといわれる防塵・防水規格の等級で、両者の違いは、水に対する防水性能の程度が違います。

IPに続く数字やアルファベットは、順番に「防塵」と「防水」の性能を意味しています。

防水規格IPコードの一覧、見方

したがって、この両者であれば、防塵性能はともに同じ等級である6となり、防水性能だけが7と8でそれぞれ違いがあるということになります。

防塵性能の等級6とは、「耐塵形。塵埃の侵入があってはならない」というもので、防塵性能としては規格内では最高レベルのものとなります。加えて、「針金(直径1mm)での危険な箇所への接近に対して保護する」という性能も要求されます。

防水性能となる等級の7と8には以下のような違いがありますが、いずれも水に浸しても一定のレベルでの防水性能を要求されます。

防水性能の等級7と8の違い
等級 保護レベル 性能試験
IPX7(防水等級7) 水に浸しても影響がないように保護。 真水の入ったタンクに浸す。製品の外郭上端から水面までの距離は0.15m。下端から水面までの距離は1m。30分間浸す。
IPX8(防水等級8) 潜水状態の使用に対して保護。 真水の入ったタンクに浸す。水位の条件は協議による。時間も協議による。ただし、7よりも厳しい条件下での実施で、継続的な潜水状態で使用されることを考慮する必要がある。

注意点は、等級8は潜水時にはもっとも強力な防水性能を持っているといえますが、等級6となる、「暴噴流に対して保護」については満たしてなくてもよいことになっていますので、強い水流にさらされることが予見される用途では、IPX6の性能を持つことも必要となる場合があります。

こうした理由から、製品によっては、IPX6/IPX8のように二つの性能評価をクリアしたことを売りにしている製品もあります。IPX7はIPX8がクリアしているのであれば、当然クリアしている等級となりますので、併記自体にはあまり意味がありません。IPX6は噴流に対する防護としては最高位のものとなりますので、クリアしていることで、IPX7にもIPX8にもない性能を持つことになります。

防水に対するIPコードは一概に数字が大きければ性能が高いとは言い切れないのはこうした理由からです。

またIP68にいたっては、同じIP68であっても製品ごとにクリアしている試験が違いますので、各メーカーの製品スペック欄の詳細を確認する必要があります。唯一つの共通点といえば、IP68はIP67よりも高い基準の試験をクリアしていればよいということですので、こうした違いが出てきてしまいます。

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