ステンレス研磨で傷が付く場合の対処方法
ものを磨くというのは、表面の凹凸を滑らかにすることですが、この研磨とは、「物体の表面に傷をつけること」でもあります。どのような研磨工具や研磨剤にも、物体の表面を削る「砥粒」と呼ばれるものが入っており、これで表面を少しずつ削って、凹凸の飛び出た部分を削り落としていく工程が研磨と呼ばれるものです。
傷をつける工程なのになぜ表面が鏡面のようになるかといえば、凹凸をより小さくする、つまり、表面の傷をより小さくすることで、鏡のような面を作り出すことができます。どんなに輝いて見える表面でも、拡大すれば凹凸はあります。要はその「程度」の問題で、滑らであるか、鏡面であるかが決まります。
通常、ステンレス研磨でより高精度の表面粗さを得ようという場合は、粗い番手(粒度)、つまり削る作用を持つ砥粒の「つぶ」が若干大きいもので研磨した後、少しずつその大きさを小さいものに変えていきます。つまり、研磨に複数の工程があります。
研磨工程のうち、どの段階で発生した傷か見極める
研磨加工というのは、前工程での深く傷をつけすぎたり、十分に全面が研磨できていなかったりという問題が、次の工程以降になってはじめて目に見えてくるという加工です。
特に、ステンレス研磨の場合は、最終仕上げやそれに相当するバフ研磨を終えたあとにはじめて傷が浮き上がって見えてくるという問題があります。傷の深さを見れば、明らかに仕上げ工程で発生したのではないものもあります。この傷をとるには、この傷が発生した工程にまで戻る必要があります。
研磨工程をみなおす
ある特定の粒度で傷が発生しているようならば、粒度と粒度のつなぎがうまくいっていない可能性があります。対処方法としては、深い傷がついてしまう工程の粒度を細かくするか、その工程から次の粒度へうつる間に、もう1工程、中間の粒度のものを挟むという方法もあります。
各作業工程ごとに使う粒度(番手)を少しずつ変えてみる
そもそも各工程で最適な粒度というのは、明解な答えがあるわけではなく、試行錯誤を通じて経験的に導き出されるため、環境やステンレスのグレード、研磨作業者が変わるだけでも違いは出てきます。傷の発生状況に応じて、粒度を細かい方向へずらしていく、という対処方法もあります。
砥粒を変える
砥粒は種類(物質)そのものを変えてしまうやり方と、同じ種類のうちグレードだけを変えるというやり方があります。
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