アルカンサス砥石(アーカンサス)

2021年7月6日更新

アルカンサス砥石とはオイルストーン(油砥石)に分類され、アーカンサス砥石またはアルカンとも言われる天然砥石です。手作業で用いる砥石には、水を含ませて研磨していく水砥石と、油を潤滑油として研磨する油砥石の二種類があります。岩石の名称でもあるノバキュライトの名称で呼ばれることもあります。

この鉱物はラテン語のノバキュラからきた名称でもともと鋭利な刃物を意味する言葉の通り、硬く鋭く浸食にも強い岩石です。有史以前から矢の先端にも使われていたことからもその硬さが伺えます。比重は2.2から2.5となり、砥石としてのグレードは比重で区分けされます。

人造砥粒ではないため、粗さはそんなに厳密なものではありませんが、粒度は粗目から細目まで揃っています。おおむね#400から#4000の粒度とされますが、天然鉱物に由来するため、一つとして均質なものはないといえます。

アルカンサス砥石の粒度の目安
アルカンサス砥石の種類 粒度(おおよそ目安)
ソフトアルカンサス #1200前後
ハードアルカンサス #1500前後
ブラックアルカンサス #2300〜2500前後
半透明アルカンサス #3500〜4000前後

米国アーカンソー州のほか、オクラホマ州、テキサス州でとれる天然の岩石(ノバキュライト、硅石)を主原料とした砥石で、砥粒に相当する部分が石英(水晶)ともいえる砥石です。長石やザクロ石を含むこともあります。このため、手作業用の砥石としてはかなりの硬さがあります。主として職人が用いたり、一般の使用例でもカスタムナイフをはじめ、一味違った研ぎを求めるときに使われる砥石ですが、天然の岩石からとれるため、品質は人造砥石ほど均質ではありません。また原料となる原石が貴重で、数に限りがあるとされ、本物のアルカンサス砥石にはそれなりの価格がついています。

工業用の人造砥石ではなく、日本で言うところの天然砥石に分類されるタイプの砥石です。長い時間をかけて自然の力が作り出した逸品と言えます。

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