MDC1D、AZ91D(マグネシウム合金ダイカスト)の成分、機械的性質、熱伝導率、比熱、硬度
MDC1Dはマグネシウム合金ダイカストの一種で、JISが規定される前はASTMのAZ91Dの名で知られている材料でした。最もよく使われるマグネシウム合金ダイカストとなります。現在でもASTMでの呼称の方が一般的となります。
耐食性に弱いとされるマグネシウム合金の中で、耐食性向上をはかったタイプで、機械的性質についてはMDC1B(AZ91B)と同等となります。量産に向いた製法でもあるため、コンピュータ部品、自動車部品、OA機器などの汎用部品の多くとして使われています。
AZ91Dは、重量比強度、剛性が鉄より優れた素材でもあります。アルミ合金と比較しても、30%以上比重が小さくなりますので、その分軽く、また寸法安定性が優れた合金でもあることから光学部品、電子部品などの精密部品にも使われます。なお、溶接には向きません。
MDC1D、AZ91Dの成分、組成
マグネシウム合金鋳物 | 化学成分(%) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Mg | Al | Zn | Mn | Si | Cu | Ni | Fe | その他 | |
MDC1D、AZ91DB | 残部 | 8.3から9.7 | 0.35から1.0 | 0.15から0.50 | 0.10以下 | 0.030以下 | 0.002以下 | 0.005以下 | 0.01以下 |
MDC1D、AZ91Dの機械的性質|引張強さ、耐力、伸び、硬度
参考値として以下のパラメータが存在します。熱処理は、F、つまり鋳造したままの状態の場合の値です。
マグネシウム合金ダイカストの種類 | 引張試験 | 硬度 ブリネル硬さ HBW |
||
---|---|---|---|---|
引張強さ N/mm2 |
耐力 N/mm2 |
伸び % |
||
MDC1D | 200から260 | 140から170 | 1から9 | 65から85 |
MDC1D、AZ91Dの熱伝導率、熱膨張係数、弾性係数、鍛造温度、比熱、比重、密度
ダイカスト製法によるマグネシウム合金であるMDC1D、AZ91Dの熱による影響や比重などを詳細に見ていくと以下の通りとなります。AZ91Bと基本的なパラメータは同等となります。
マグネシウム合金の種類 | MDC1D、AZ91D |
---|---|
液相線温度(℃) | 595 |
固相線温度(℃) | 470 |
凝固温度範囲(℃) | 125 |
溶融潜熱(kJ/kg・K) | 373 |
比熱(kJ/kg・K)(室温) | 1.05 |
熱伝導率(W/m・K)(20℃、砂型) | 51.2 |
熱膨張係数(μm/m・K)(20℃〜100℃) | 26 |
比重、密度(g/cm3)(20℃) | 1.81 |
縦弾性係数(kN/mm2)(20℃) | 45 |
横弾性係数(kN/mm2)(20℃) | 17 |
鍛造温度(℃) | 625から700 |
「JIS H 5303 マグネシウム合金ダイカスト」に規定のある材料記号
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