粉末ハイス鋼とは|溶解ハイスと粉末ハイスの違い

2013年8月1日更新

ハイス鋼とは、高速度工具鋼のことで、主に切削工具に使われる非常に硬い鉄鋼材料です。実用上、数ある鉄鋼材料の中では一番硬いといっても差し支えないかもしれません。

このハイス鋼にも、成分によっていくつかタイプが存在しますが、そうした区分とは別に、ハイスの製法という面で見ると、溶解ハイスと粉末ハイスという二つに分けることができます。

一般的に言うハイス鋼は、ほとんどが溶解ハイスとなります。これは通常の鉄鋼材料をはじめ、合金鋼や工具鋼を製造する要領と同じで、通常の鋼のように原料を電気炉などで溶解したものを形にしていき、圧延したものになります。金属組織を構成する結晶の粒径は比較的粗いものになりますが、鍛造や熱処理によりこれもある程度変わっていきます。

もう一方の粉末ハイスとは、この初期から作り方が異なっており、粉末冶金法によって製造されるハイス鋼です。型に元となる材料の粉をいれ、熱と圧力をかけながら焼結していきます。元となる材料は一度溶かしてあり、それをさらに微粉末にして焼き固めるという方法を取ることで、金属組織がより緻密で、結晶粒も小さいものになります。

結論を言えば、粉末ハイスのほうが強靭で、耐磨耗性に優れ、疲労に強い、靭性に富んだ鋼材となります。寿命も粉末ハイスのほうが溶解ハイスに比べて長くなります。JIS規格ではSKH40がこの粉末ハイスに相当する規格材です。

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