スチールボンドとは

2011年11月22日更新

砥石を構成する三つの要素の一つ、ボンドのうち、メタルボンドに分類されるものです。あえてスチールボンドと言わず、単にメタルと言われることのほうが多いですが、特に「スチール」に力点を置いた金属系ボンドであることを示したい場合に、スチールボンドと呼ばれることがあります。一般に、メタルボンドの主成分はブロンズになります。ここにコバルトやスチール、タングステン、ニッケルなどが目的に応じて添加されます。何がどのような配合で入れてあるのかは砥石メーカーにとっては最も重要なノウハウの一つとなります。

同じメタルボンドでも、焼結の条件、窯の中に入れる条件、物質の配合比や製造工程によって出来あがってくる砥石の性能は大きく異なります。このため、同じメタルボンドの砥石を購入してもメーカーによって差異が出ることがあります。研磨が複数工程あり、粒度を複数用いなくてはいけない場合なども、使用メーカーを統一することがありますが、これも同様に、メーカー違いで同じスペックなのに性能が異なるケースがあるからです。

スチールボンドが使われる局面は、一概には言えませんが、通常のブロンズ系よりも硬さが必要な場合、特にワークが硬い場合などが多いとされます。メタルボンドは元来、高寿命、高ライフに特徴のあるボンドです。それも硬い物質、特殊なガラス等では損耗が激しく、十分にライフを持たせることができないため、スチールの含有比率を高めることがあります。

なお、砥石メーカーにとっては、ボンドの種類(系統)がどれだけあるかというのはそのメーカーが対応できるワークや技術力ともつながってくる大切な要素です。配合や添加材料の微調整などは可能としても、同じメタルボンドの中でも全く異なる設計思想を持つ「系統」が複数あるというのは砥石メーカーの技術力の証の一つと言えます。ボンドの系統が一種類しかない場合、適合しなかった場合、調整してカバーできなければそれ以上の対応は砥石側では難しいということになります。

スポンサーリンク

>「スチールボンドとは」についての先頭へ

砥石Q&A一覧へ戻る

「スチールボンドとは」についての関連記事とリンク

砥石(超砥粒)に使われるボンドの特徴について
メタルボンド
レジンボンド
ビトリファイドボンド
電着
ブレージング(溶着)
砥石の選び方:ボンドの種類で選ぶ

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集