ダイヤモンドホイール・CBNホイール
メタルボンドタイプ

2009年8月31日更新

メタルボンドは、「メタル」の名が示すとおり金属をベースにしたボンドです。複数の金属、合金の粉末を固めて焼結し砥粒を固定したもので、砥粒そのものを強靭に保持する特性を持ちます。砥粒の保持力(砥粒をつかむ力)が最も強く、耐熱性、耐摩耗性に優れ、長寿命で、砥石そのものの形状の保持力(形状の維持性)が高いボンドです。

この砥石の特徴と仕様

研削でよく使われる工程

粗工程(#80から#170程度)や、#200以降の中仕上げ工程などでホイールの砥石部分の形をあまり崩すことなく維持したい場合や砥石の持ちを重視される場合などに選択されることが多いですが、研削条件と仕上がりの状態によっては仕上げに使われることもあります。

粗工程 中仕上げ 仕上げ

砥石の標準仕様

寸法 粒度 結合度 集中度 ボンド
各種 #16〜#3000程度
P(硬め仕様)
N(標準硬さ)
L(軟らかめ)
10〜150 メタル

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メタルボンド砥石の持つ性質

一言で言えば、粘りがある金属系の性質を持ったボンドです。他のボンドに比べると、研削時のホイールの変形は小さく、引っ張り強さ、熱伝導率(熱が加工物へいきづらく、熱軟化を起こしにくくなる)が高く、またレジンと比較すると砥粒の突き出し量も確保できます。ヤング率は縦弾性係数であり、加工物に砥石があたった際に、砥石側にどれだけ弾力があるかを見ることができます。空気の詰まったタイヤに例えられることがありますが、メタルは空気圧の高いタイヤ、レジンは空気圧に低いタイヤといった見方も出来ます。

メタルボンド砥石の材質

メタルボンドは主成分により区分されています。実際には複数の金属が含有されていますが、メインとなる材質によって、コバルト(Co)ボンド、ブロンズ(Bz)ボンド、スチール(St)ボンド、タングステン(W)ボンド、ニッケル(Ni)ボンド、鉄(Fe)などがあります。配合により多種多様なものがあり、同じ種類のボンドであっても砥石メーカーによってその配合や製法は異なります。複数社のメーカーの砥石を試されたことがある方はご承知のとおり、同じ仕様の砥石の製作を依頼しても、その性能はかなり異なります。

よく使われる研削対象

ダイヤモンド砥石
超硬合金
セラミック
ガラス
サファイア
フェライト・磁性材料
サーメット
ダイヤモンド焼結体
Si, Ge等半導体用
石英・水晶
石材・コンクリート
プラスチック・FRP
CBN砥石
炭素鋼,SK
高速度鋼,ハイス,SKH
合金工具鋼,SKC
ダイス鋼,SKD
クロム鋼,SKD
クロムモリブデン鋼,SCM
ニッケルクロム鋼,SNC
ステンレス鋼,SUS
軸受鋼,SUJ
耐熱鋼,SUH

メタルボンドのホイールは、角ダレや型崩れなどが気になる場合や、特に硬いワーク、切れ味よりも寿命や形状保持を優先する場合におすすめですが、ワークによって向き不向きはあります。加工現場では、ほとんどの場合、レジンかメタルかの二択とされていますが、それだけポピュラーなボンドの一つです。用途によりさまざまなタイプのものがあります。

【参考】ボンドの代表的物性値

レジン、メタル、ビトリファイドのボンドそのものの代表的な物性値を比較検討した研究によれば下記のような関係にあります。(参照文献)加工技術データファイル ダイヤモンド・CBNホイール 岡田昭次郎 著 機械振興協会技術研究所

  • 硬さ
    レジン < メタル < ビトリファイド
  • 引っ張り強さ
    レジン < ビトリファイド < メタル
  • ヤング率
    レジン < ビトリファイド < メタル
  • 熱膨張率
    ビトリファイド < メタル < レジン
  • 熱伝導率
    レジン < ビトリファイド< メタル

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