超硬研削・研磨用の砥石の特徴について

2010年2月15日更新

超硬は、炭化タングステンやコバルトを混合した合金で、精度の高い加工や耐衝撃性、耐磨耗性、高温下でも高い硬度を持つなどの特徴を持つ材料です。バイトやエンドミル、金型等でもお馴染みの材料かと思います。

超硬合金には多数のグレードや種類が知られており、おおよそそのほとんどが金属の中でも相当な「硬さ」を持ちます。その硬さはダイヤモンドに次ぐほどのものであり、また重さもあります。こうした超硬の研削や研磨、切断には、砥粒のなかで最も硬いダイヤモンドを使った砥石が最適です。

ダイヤモンドホイールとしては、粒度16、20、30、40、50、60、80、100、120、140、170、200、230、270、325のメッシュサイズから、400以上のミクロンサイズまで幅広い粒度のものが出回っています。一般に超硬の粗工程では、120、140、170がよく使われます。

超硬の研削・研磨用砥石の特徴と仕様

研削でよく使われる工程

超硬研削・研磨用として、円筒研削、平面研削(平研)、内面研削(内研)などで使える粗取り用から中仕上げ、仕上げ用のすべての工程をダイヤモンドホイールでカバーできます。

集中度(砥粒の量)に関しては、超硬用は75〜100が多く見受けられます。

粗工程 中仕上げ 仕上げ

砥石の標準仕様

寸法 粒度 結合度 集中度 ボンド
各種 #16〜#3000程度
P(硬め仕様)
N(標準硬さ)
L(軟らかめ)
10〜150 レジン
メタル
ビト

切れ味を重視したタイプは、主に粗取り用として、より早くより多く削りたい場合に便利な仕様です。軟らかめのボンドを使用し、結合度を下げて自生作用がより促進しやすくしてあります。切れ味が持続するため、取り代(研削代)を十分に稼ぐには最適な仕様ですが、仕上がりの面粗度は使っている粒度以上のものは望めません。

仕上げでの面粗さを重視したタイプは、切れ味を後半で低下させ、きめの細かい面が出るよう調整した仕様です。使うにつれ、表面が適度に目詰まりすることで砥粒の突き出しと切り込みを低めに抑えてあります。あたりが若干硬く、ボンドも切れ味重視型に比べてやわらかい仕様です。

超硬用と一口によっても、様々な砥石の仕様があります。要望や優先事項を砥石メーカーに伝え、最適な砥石の選定を依頼するのがベストです。

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超硬研削の特徴

超硬の用途は多岐にわたりますが、耐摩耗性が必須となる超硬金型や部品、切削工具(超硬工具)の刃などに用いられることからもその硬さは他の金属、合金類から突出しています。

砥石は切れ刃となる砥粒が硬いことも重要ですが、研削中にワークと接する先端が常に尖った新しいものになっていく「自生作用」も重要となってきます。この自生作用を起こさせるのに重要な要素の一つが「切り屑」です。砥石で研削しているワークの切り粉が、砥石自体も削っており、砥石の表面を「研いで」います。超硬の場合、切り屑は粉状かつ細かく、適度に自生作用が進んでいかないと砥石の表面が目詰まりを起こし、切れ味が低下していきます。また、ワークが硬いゆえに、砥石へかかる負担も大きいのが特徴です。

超硬で削られる砥石

自生作用を起こさせる際に重要となる要素の一つが、切り屑とボンドの関係です。砥石は加工物を削りますが、加工物も砥石を削りながら減っていきます。この加工物の切り屑によって砥石が削られることで、切れ味のよい面を出していくことが可能になります。

超硬の切り屑は細かい粉に近く、金属を削ったときに出る丸まった延性材料の切り屑とは異なり、どちらかといえばガラスや石などの脆性材料に近い性質を持ちます。

砥粒のレベルでは「削る」というよりも、たたくという状態に近く、頑丈な砥粒が求められます。

切れ味と面粗さ

通常のダイヤモンドホイールでは、目詰まりとともに、ミクロレベルでの目つぶれを起こし、使い込むほどに切れ味が低下し、それに反比例するように加工物表面の面粗度は上がっていく傾向にあります。

多くの砥石にまつわる問題のなかで、一番多いのが「切れない」「切れ味が思うように出ない」といった切れの問題です。そしてもう一つが面粗度の問題。加工条件(周速、送り、切り込み、研削油の種類・量)を変えるだけでも対処できる場合もありますが、砥石の仕様変更をしたほうがよい場合もあります。

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