砥石を安全に使うために

2009年7月1日更新

砥石は高速で回転して用いるため、誤った使い方をすると大変危険です。ここではダイヤモンドホイール、CBNホイール等の回転する砥石を砥石を安全に使うために注意すべき点について記述していきます。

ダイヤモンド砥石を製造しているメーカーのものをお使いであれば、製品箱のなかに、通常は安全に使うための説明書も入っていますので一度ご確認されることをおすすめします。

砥石の安全な使い方
ダイヤモンドホイールおよびCBNホイール取扱説明書

災害防止と、安全にご使用いただくために、ご使用前に、この取り扱い説明書とホイールの仕様が記載されている検査票、使用研削盤の取扱説明書、使用研削液の取扱説明書を必ずお読みください。

お読みになった後は、取扱説明書、検査票を、ホイールの使用者がいつでも見られるところに、必ず保管してください。取扱を誤ると事故やけがの恐れがあります。

取扱を誤った場合、発生が想定される危険、損害の程度をつぎの2段階に分類し、表示しています。

取扱を誤った場合、使用者が死亡又は重傷を負う可能性が想定される場合。

取扱を誤った場合、使用者が軽傷を負う可能性が想定される場合又は物的損害のみ生じることが想定される場合。

砥石を使う作業環境、服装、保護具

研削盤メーカー指定のホイールガードを必ず正しく取り付けてください。

研削盤の周囲には関係者以外立入禁止、特にホイールの回転方向に立つことを禁止。

使用者は、防じんメガネ、安全靴、保護帽、の保護具を着用し、作業に適した裾とそで口のしまっている作業衣を着用してください。

換気をよく行ってください。空気中にただよう霧状の研削液や粉じんを除去してください。

使用者は、防じんマスク、耳せんの保護具を着用してください。

研削盤の周囲の床を清掃し、また周囲を整理整頓してください。

研削盤のテーブルなど可動部分の移動範囲を床に明示してください。

移動範囲内に物を置いたり、立ち止まることを禁止。

ホイールは使用中に火花を発生することがあります。引火や爆発の恐れのある場所では使用禁止。

スポンサーリンク

砥石の使用前

ホイールの最高使用周速度以下の周速度で使用してください。ホイールの最高回転速度が、使用研削盤のスピンドルの回転速度より高いことをご確認ください。

ホイールの寸法が、研削盤の指定寸法(ホイールの外径、厚さ及び穴径)に適合しているか、点検してください。

ホイールを清掃した後、外観(割れ、ひび、欠け、きず、砥粒層のクラック浮き上がり等の接合不良がないか)を点検してください。

ホイールの台金が、鉄系金属の場合には塗ってある防錆剤を洗浄してください。

研削盤のスピンドルのホイール取り付け部を清掃してください。

フランジを清掃し、傷、曲がりや反り、バランス不良が無いか、点検してください。

ホイールに曲がり、反りが無いか点検してください。

ホイールの検査票及び本体の表示を読み、ホイールが使用目的に合っているか、点検してください。

砥石の取付け

研削盤のスピンドルにホイールを取り付ける時は、必ず電源を「切り」にしてください。

研削盤メーカー指定のホイールガードを必ず正しく取り付けてください。

ホイールとフランジのはめあい部(ホイールの内径面、側面、及びフランジの端面、パイロット径面)に傷又はごみの付着がないか、点検してください。

ホイールの穴径の僅かな傷やまくれ、盛り上がりをペーパーなどで修正してください。

ホイールのコア部の材質が研削砥石である場合は、ラベルを挟み、その他の材質の場合は挟まないでください。

ホイールとフランジはおだやかに押し込んでください。

ハンマーで叩くなど無理矢理押し込むことは禁止。

穴径を加工して寸法を変えることは禁止。必要な場合はメーカーに依頼してください。

フランジのネジは対角線上に均等に締め付けてください。

バランス台にセットしてバランスを取ってください。

軸付ホイールの場合は、オーバーハング(突き出し)の長さが、回転速度に適した長さを越えないようにしてください。

【留意事項】研削盤に取り付けた後、機上でバランスを取る場合もあります。
ホイールとフランジのはめあわせを緩くして、ホイールの砥粒層の近くに設けた基準面の振れを、チェックする方法もあります。

砥石の試運転

被削材(加工対象)が確実に取り付けられているか、被削材の送り機構が正しく作動しているか、点検してください。

ホイールが確実に取り付けられているか、ホイールの送り機構が正しく作動しているか、点検してください。

ホイールの回転方向は正しいか、点検してください。

1分間乃至3分間の無負荷運転を行い、異常音、異常振動がないか、点検してください。

研削液が研削点にかかっているか、点検してください。

研削作業

回転中のホイールには、絶対に手を触れないでください。

異常音、異常振動が発生したら、直ちにホイールを逃がし、全停止してください。

研削作業終了後研削液の供給を停止し、研削液を振り切ってからホイールスピンドルの回転スイッチを「切り」にしてください。

ホイールに手を触れたり、何か物を押し付けることをせずに、自然に停止するまで待ってください。

ホイールを研削盤のスピンドルから取り外す時は、必ず電源を「切り」にしてください。

ツルーイング、ドレッシングをしてください。(ツルーイング、ドレッシング方法、装置については、メーカーにご相談ください。)

ツルーイング、ドレッシング後、バランスを再点検してください。(機上でバランスを取る方法、装置については、メーカーにご相談ください)

ホイールと被削材の接触時に切り込み過ぎないように、特に乾式の工具研削ではホイールを焼き付かせないようにしてください。

試し研削をして、送り、切り込み量、サイクルタイム等が正しく設定されたか、確認してください。

ホイールの切れ味が悪くなったら、ドレッシングをしてください。

ホイールの形状が崩れたら、ツルーイングをしてください。

被削材に、焼けやビビリがないか、点検してください。

過負荷にならないように、注意してください。

【留意事項】ドレッシング間隔及び切れ味などから判断して、研削条件、ホイールの仕様に問題があればメーカーにご相談ください。

砥石の保管、取扱

ホイールの作用面(使用面)を観察し、焼け、目詰まり、目つぶれ、脱落、砥粒層の浮き上がり、欠け、割れ、ヒビが生じていないか、点検してください。

ホイールを外して保管する場合は、落下や衝撃の加わることのないところで、直射日光を避け、乾燥した温度変化の少ない場所に保管してください。

ホイールを取り外したら、水分や汚れを取り除いてください。ホイールの台金(コア)が鉄系金属の場合は、防錆処理をして保管してください。

ホイールの形状を変えるような加工をしないでください。必要な場合にはメーカーにご相談ください。

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集