砥石のラベル表示方法と見方について

2009年9月21日更新

砥石のラベル表示方法には、ダイヤモンドホイールやCBN砥石の場合、共通の表示方法があります。砥石を購入されると、箱の外装に製品の仕様について表示したラベルが貼ってあると思います。また検査票にも、砥石の名称や仕様について記載してあります。

砥石のなかでも、ダイヤモンドホイールやCBN砥石などに関しては、ラベルや仕様表示の方法に共通している部分があります。ここでは砥石ラベルや砥石についている検査票の見方についてご紹介します。この砥石の表示方法の規則性と検査票の見方がわかると、砥石の仕様がどのようなものか判別することが出来ます。

砥石表示方法の規則:ダイヤモンドホイール、CBN砥石などの砥石ラベルの見方

砥石のラベル表示方法はメーカーによって若干の違いはありますが、おおむね共通した表記方法が採用されています。以下に砥石ラベルや検査票に記載されている数字や記号の意味についてご紹介します。今お使いのダイヤモンドホイールやCBNホイールの外箱のラベルや検査票があれば、ぜひ一度見比べてみてください。

砥石の仕様表示例

砥石の表示方法

1. 砥粒の種類

ここでは特にどんな砥粒を使っているのかを大まかに示しています。砥石に使われる砥粒の種類やグレードは、非常に数が多く、メーカーや加工する対象によっても違うことがありますので、この部分では大まかに以下の分類で示されています。

D ダイヤモンド、もしくは天然ダイヤモンドを表している場合もあります。
SD 合成ダイヤモンド
SDC 金属でコーティングしてある合成ダイヤモンド
CBN 立方晶窒化ホウ素。ボラゾンのことですが、「ボラゾン」は商標のため表記には使われていません。
CBNC 金属でコーティングした立方晶窒化ホウ素。
BN CBNと同じ意味で使われます

なお、JIS B 4142「ダイヤモンド・CBN工具安全性要求事項」の規定では、砥粒の基本記号は、下記の2種類のみです。メーカーによって細分記号を加えて表示してもよいとの規定があります。

D ダイヤモンド
BN CBN(立方晶窒化ホウ素)

砥石の砥粒:ダイヤモンド・CBN砥粒についての詳細

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2. 粒度

切れ刃である砥粒の大きさです。メッシュとも呼ばれます。ダイヤモンドホイールやCBN砥石で使われるメッシュサイズのJIS規格には下記のような規定あります。

メッシュサイズ(JIS B 4130 ふるいによる分級)
粒度JIS表示 平均粒径(ミクロン)
16/20 1180
16/20 1180
20/30 840
30/40 590
40/50 420
50/60 300
60/80 250
80/100 177
100/120 149
120/140 125
140/170 105
170/200 88
200/230 74
230/270 62
270/325 53
325/400 44

「325/400」の場合、粒度の呼び方は325となります。

砥石の粒度についての詳細

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3. 結合度

ボンドの硬さを表しています。ボンドは砥粒を保持する役目を持ちますので、砥粒をつかんでおくグリップ力とも関連があります。

(軟らかい)←H|J|L|N(中間)|P|R|T→(硬い)

アルファベットのZへ近づくほど硬くなり、Aに近いほど軟らかくなります。結合度を決める基準は、メーカーによって異なるため、単純に比較することができない指標です。あくまで同じメーカーの同じボンド種に対しての比較になります。

砥石の結合度についての詳細

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4. 集中度

集中度とは、ダイヤモンドやCBNなどの砥粒が、砥石にどれだけ入っているかを表す指標です。コンセントレーション、コンセント、コンクなどとも言われます。体積比で表していますので、100と書いてある場合は、25%がダイヤモンドかCBNが入っていることになります。なお、コーティングされているダイヤモンド等を使っている場合は、コーティング材の重さはカウントしません。

集中度の違いによる砥粒の含有率【参考】
砥粒 集中度 含有率(体積、%) 含有量
g/cm3 カラット/cm3
ダイヤモンド 200 50 1.76 8.8
175 43.75 1.54 7.7
150 37.5 1.32 6.6
125 31.25 1.1 5.5
100 25 0.88 4.4
75 18.75 0.66 3.3
50 12.5 0.44 2.2
25 6.25 0.22 1.1
CBN 200 50 1.74 8.7
175 43.75 1.522 7.61
150 37.5 1.306 6.53
125 31.25 1.088 5.44
100 25 0.87 4.35
75 18.75 0.652 3.26
50 12.5 0.436 2.18
25 6.25 0.218 1.09

砥石の集中度についての詳細

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5. 結合剤(ボンド、結合材)の種類

ボンドは砥粒を保持しておく結合剤の役目も持ち、砥石の色の大部分はこのボンドの色でもあります。

M メタルボンドを表す記号です。ブロンズなどの金属を主体にしたボンドです。
B レジンボンドを表す記号です。熱硬化性の樹脂を主体にしたボンドです。
V ビトリファイドボンドを表す記号です。ガラス質、セラミックス質のボンドです。
P 電着による工具であることを表す記号です。メッキのうえに砥粒を固着したタイプのボンドです。

砥石のボンドについての詳細

メタルボンドの砥石の特徴について

レジンボンドの砥石の特徴について

ビトリファイドボンドの砥石の特徴について

電着の特徴について

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6. 砥層の厚さ

砥石のうち、ダイヤモンドやCBNの入った部位を砥層と呼びますが、その厚みを示しています。正味使える部分の厚さでもあります。単位はmmで表しています。

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7. 砥石の砥層とコア(台金)の形状

砥石がついているコア(台金)の形状と砥層の組み合わせには非常に多くのパターンが考えられます。研削・研磨に使う機械の種類や、加工する対象の形状によって数多くのバリエーションの砥石を製作することができます。

たとえば、6A2Cという形状記号がついている砥石は、下記のルールからコアと砥層の形状を特定することが出来ます。

砥石の寸法・形状についての詳細

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8. 砥石の寸法表示

寸法で表示される項目としては、外径(D)、砥層巾(W)、砥層厚(X)、コア台金の厚み(T)、穴径(H)などがあります。

たとえば、上記の砥石の表示例では左図のような1A1形状になりますので、D200(外径) x X5(砥層の厚み) x T10(台金コアの厚み) x H50.8(穴径)となります。なお、単位は原則としてmmになります。

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