砥石の選び方:集中度(砥粒の量)で選ぶ

2009年8月24日更新

集中度は寿命や面粗さに影響する要素です。コンク(Conc)、コンセントとも言われます。砥石のなかに砥粒がどれだけ入っているかを示す値で、高い集中度ほど砥粒が多く入っていることになりますが、寿命が延びる反面、砥粒の目つぶれが発生しやすい難点があります。

反対に低い集中度は、切れ味は上がりますが、砥粒の目こぼれが発生しやすくなります。もっとも、目つぶれ、目こぼれともに、加工モードや加工条件、結合度とも密接な関係があります。

加工物によっても、砥粒の量を多くしたほうが切れる場合と、逆に減らしたほうが切れる場合とがあります。もちろんこれは研削条件にも左右されるので集中度だけでは砥石の性能をコントロールできませんが、砥石の性能を決める重要な要素の一つではあります。

回転数が十分に高い場合、砥粒が砥石のなかにあまり入っていなくとも、ワークへあたる回数は確保できますが、回転数がゆっくりであれば、集中度を下げるとそのまま刃となる砥粒がワークへあたる回数が減ってしまいます。 なお、業界によっても砥石の集中度は異なり、ガラス加工などでは60程度の集中度が一般的なのに対し、超硬や金属などでは75や100が一般的です。

砥石の集中度があわない例

選択した砥石の集中度があわないと、集中度が高すぎる場合、低すぎる場合とで下記のようなケースが見られることがあります。

加工条件軽度

軽研削で、集中度と結合度が高すぎる場合、砥石の自生作用がうまく働かず、先端から出た砥粒がつぶれていき、切れ味が低下します。切れないため研削抵抗がかかり、熱を持った結果、「焼け」や「びびり」が発生してしまうケースです。

高結合度、高集中度

目つぶれ

切れ味低下

発熱

被削材焼け、びびり

加工条件過度

切り込み深さを重視して集中度を下げ、結合度も低くして切れ味を重視したケースで、ワークに対して砥石がやわらかすぎたため目こぼれを起こしています。結果、砥石の寿命が低下してしまうケースです。

低結合度、低集中度

目こぼれ

寿命低下

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