砥石選びのコツについて
研削や研磨に欠かせない砥石には、さまざまな種類のものがあります。同じ種類の砥石でも 硬さや粒度が違えば、切れや持ちは当然違ったものになりますし、仕上がりの面粗度も異なったものになります。また種類やスペックが同じ砥石でもメーカーが違えば、使用感や切れ味、寿命、面粗さなども異なることがあります。
砥石選びで重視するポイント
砥石の切れ味や寿命を十分に持たせ、ワークを効果的に研磨・研削するためには、その加工に適した砥石を選ぶ必要があります。どれだけ優れた砥石を使っても、ワークとの相性が悪ければ思ったような研削・研磨をすることは適いませんし、作業のスピードも落ちて、効率も下がります。砥石選びが重要とされる所以です。
また仕様のうえでは、適合する砥石のはずなのに、使ってみたらどうもしっくりこない、といったご経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
砥石は、過去の経験則からある程度予測のつく部分と、実際に使ってみないとわからない部分とがあり、また使われる環境(研削条件、加工機械、加工物、作業される方のコンディションなど)があまりにも多様なため、なんにでも完璧に使える万能砥石というものはないのが実情です。特にダイヤモンドホイールやCBN砥石などを使う精密さが要求される加工では、なおさら砥石の性能に影響する事柄が多くなります。
砥石選びでは、何を重視するかというポイントを明確にする必要があります。まず形状が研削・研磨の機械に適合するのかという点からはじまり、価格なのか、切れ味なのか、寿命なのか、面粗さなのか、研削比なのか、砥石選びの前に重視されるポイントに優先順位をつけると選びやすくなります。
砥石メーカーはどこがよい?
砥石を製造するメーカーを選ぶときに重視されるポイントは、一定の品質をクリアしていることは もちろんのこと、価格であったり、納期であったり、対応力であったり、相談できる点であったり、昔からの付き合いであったり、人によっても異なると思います。
砥石は言ってみれば、粉を焼き固めた「焼き物」です。 信楽焼きや清水焼きのような焼き物の味わいが違うように、砥石も各メーカー、同じ種類に分類される砥石であっても、製造する条件やノウハウが異なるため、 メーカーによって使用感や性能に違いが見られることがあります。
特に精密用途で用いる研削加工用のダイヤモンドホイールやCBNホイールなどはこのわずかな違いによって、作業効率も大きく変わってしまいます。
その砥石が「切れる」ものかどうかは、最終的には使ってみないとわからないことではありますが、どんなものにも使える万能な砥石がない以上、違うメーカーの砥石を一度は使い比べてみるのも参考になるかと思います。
砥石メーカー選択のポイント(例)
- どんな砥石に強みを持つメーカーか
- サンプルは試せるか
- 砥石製作を依頼する前に打ち合わせができるか
- こちらの要望をきちんと理解した提案を持ってきているか
- 品質上の課題をクリアできそうか
- 加工コストが下がるか(※単価が若干上がっても砥石の寿命がかなり上がる、あるいは加工時間が大幅短縮可能などでもコストは下がります)
- 納期は許容範囲か
今日日、加工する対象が広くなり、加工方法の技術も各種開発される中、一つの砥石メーカーの砥石だけを使っていくのは厳しい面もあります。何社かのものを揃えて比較検証を行なったり、工程ごとにぴったりあう砥石を選んでいくことが肝要です。
砥石選びで見るべきポイント
砥石を選択する際、砥石自体がその研削工程に使えるかどうかという観点から見ると、下記の2点はおさえておく必要があります。
形状の適合
外径をはじめ、フランジへの取付け穴径、ピッチ、ねじ穴の種類など取り付けて使うことができるか確認する必要があります。平面研削加工、円筒研削加工などで使う工作機械はメーカーによってフランジが異なるため確認が必要です。
仕様の適合
鉄を含む素材を研削するのにダイヤモンドホイールを選択している場合など、特段の理由がない限り、避けたほうがよい加工物と砥石の組み合わせがあります。経験則上から、ある程度砥石と組み合わせの相性が判断できますが、切れ味や面粗さなどになってくると必ずしも経験上のことが使えないこともあります。また図面を引いてもらう場合は、寸法公差についても確認しましょう。加工内容によっては砥石の寸法精度がそのまま加工精度に影響します。また振れ精度についてはメーカーにより基準がなかったり、記載がない場合もありますが、精密加工には必須の要件ですので、場合によっては製造元・販売元に許容範囲について確認するとよいでしょう。
上記を満たした上で、砥石選びの優先順位を絞り込んでいくと砥石の候補が絞られてきます。
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