図面のRとCRの違い
RとCRはどちらも図面における寸法補助記号で、指定箇所をR5、CR5のように数字で記載した半径を持つ円弧に丸めるという指示内容を意味しています。
R面指定により角部分をなめらかにする加工指示が出ていることはよくありますが、RではなくCRと記載されている場合もあり、両者の違いについて見ていきます。なお、CRはJIS規格では2010年の改訂で追加されたもので、古い図面では目にすることはない記号です。
RとCRは何が違うのか
RとCRの意味するものを表にまとめると下記のようになります。どちらも半径を意味することに違いはありません。
R | Radiusの略で半径を意味しています |
---|---|
CR | Control Radiusの略で日本語ではコントロール半径を意味しています。 |
図面のRの意味
まずR面の指定されている場合は、その部分に指定された値の半径をもつ円と同じ曲線で加工するということになります。例えば、R3だとしたら、角部の各辺から3ミリ内側に入った位置の中心にある半径3ミリの円状に加工する、という指示です。図で示すと以下のようになります。
ただし上図の指定だと、曲線部分が凹凸になっていたり、かど半径や隅半径に段差があるような加工でも図面の上ではOKということになってしまいます。この図ではかなり極端な例を示していますが、細かいレベルではこうした仕上がりになることも珍しくありません。これに応え、Rでは規制できない部分も指定するための記号がCRです。
図面のCRの意味
CRはコントロール半径の名称の通り、半径を一定の範囲にあることを指定することができます。具体的には図示した箇所が最大許容半径と最小許容半径の公差の間に入っていることを指定できるので、曲線の部分の凹凸があってこの間をはみ出ることはNGという指定ができます。
さらに、CRで指定すると、直線部分と曲線部分の接合部位がなだらか、なめらかにつながることを指定できますので、細かい段差がここの内に外にできてしまうようなことを防ぐ指定ができます。
CRも寸法補助記号としてはRとほぼイコールの指定した半径の円弧分だけ丸めるという点に違いはないのですが、このようにより詳細な条件を付けて丸みの部分の精度を指定することができるというメリットがあります。
角をRで丸めるのはなぜか
鋭利な状態の角部分はピン角とも呼ばれますが、この部位にRやCRをつけて丸めるのは以下の目的があります。
- 怪我の防止
- 破損や傷の防止
- 強度低下の防止
- 組付けをしやすくする
- 加工上できてしまう
- 怪我の防止
- 加工材料で多いのは金属やセラミックスなどの硬度を持ったものが多いですが、プラスチックにしても人が素手で触れることを考えると尖った角を残しておくと思わぬ怪我につながることがあります。したがってR加工がコストがかかるという場合には、単に角を落とす面取りがなされていることもあります。丸みをつけた加工をしておけばこのリスクは大きく低減できます。
- 破損や傷の防止
- 尖った角は材質によってはそれ自体が刃のように機能するので、接触する他の部品や製品箇所に傷をつけてしまうことがあります。また、反対に尖っている部位は衝撃を受けると薄くなっている先端分が破損することがあり、自身の破損と相手側への傷の両面から注意が必要ということになります。
- 強度低下の防止
- 尖った角は欠けたり、割れたりといったリスクがあり、また角の隅に応力が集中して破損に至ることがあります。いわゆる応力集中、切り欠きの問題です。通常の荷重では問題にならなくても特定の条件下で振動が重なる等で角部に想定外の力がかかってしまい、大惨事につながるということもあります。直角になっている隅にRをつけるだけでも応力集中を緩和する効果があります。強度の上で脆弱になってしまう箇所を排除する効果が見込めます。
- 組付けをしやすくする
- 部品同士を組み付ける場合、例えば、棒状の部品を穴へ挿入するとき、棒の先端の角が丸みを帯びているほうが入りやすくなります。ここが角ばっていると、正確に真上から棒状の部品を入れないと角があたって入らない、もしくは傷になる可能性もあります。
- 加工上できてしまう
- エンドミルなど回転する工具でワークを内側から加工をすることをイメージするとわかりやすいですが、回転している工具は円で動きますので、そのままあてると角部分も丸まってしまいます。無理にRをなくすと高コストになるため、加工の上でできてしまうRを残すという指示をしていることもあります。
上記のような目的に対し、RとCRどちらが適した図面指定かを検討しながら決めていくとよいかと思います。
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