鍛造と鋳造の違い
ごく簡単に言えば、「鍛造(たんぞう)」は金属をたたいて組織を緻密にし鍛えたもので、「鋳造(ちゅうぞう)」は溶かした金属を型に流し込んでから冷やして固めたものです。
イメージとしては、鍛冶屋がハンマーを使って熱い鉄を何度もたたいて鍛えたり、冷やしてからまた熱して鍛えていく様がまさに「鍛造」です。
鍛造(たんぞう) | 鋳造(ちゅうぞう) |
---|---|
材料に衝撃や荷重を加えることで「鍛える」 | ドロドロに溶かした金属を型に流し込んで成形する |
頑丈で強度の強い材料を得ることが出来る。 | 複雑な形状のものでも可能。量産に向く。 |
コストは高め(部品の形状・寸法・仕様による) | コストは低め(部品の形状・寸法・仕様による) |
残留応力少ない | 内部応力が残ることがある |
金属の強さは、その組織によって変わります。鍛造によって打撃と熱処理を繰り返すことで、金属の組織は非常に強靭なものに変わっていきます。
詳しく言えば、この打撃と熱によって金属の結晶粒子をどんどん細かくし、緻密にしていくことで金属組織の結合をつよくし、粘り強い材料にしていくことが出来ます。
同じように加工された同一素材の金属部品でも、鍛造品なのか、鋳造品なのかによって強度が変わってくるのはこうした事情によるものです。
鋳造品は、金属を溶かして液体化したものを型に流し込んで固めるため、複雑な形状をした部品などの大量生産に強みがあります。
ただし、溶かした金属(鋳物湯といいます)を型に流し込むため、空気の排出がうまくいかないと、金属の内部に小さな空洞ができることがあります。これにより強度がでない、あるいは厚みの違う部分に対して冷やした際に応力が残留し、余計な力が内側からかかることで、強度が弱くなることもあるため、これらについての対処が必要となります。
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