金の種類|金合金の持つ色や成分、純度について
金やゴールドといった場合、単一の元素であるAuのみで成分が構成されており、種類など一つしかないと思われがちですが、金には純度と添加している他の金属元素によっていくつもの種類があります。この場合の金とは、正確には金合金となります。また、金の純度がK18、俗称では18金のものであっても、純粋な金が含まれる割合は75%になりますので、残りは別の金属ということになります。実質、「金」といわれるものはK24の99.9%が金のようなものを除くと金合金ということになります。
つまり金の種類とは、「金の純度」と金に添加されている他の金属の成分の組み合わせのことになります。
金、もしくはゴールドといえば資産価値を有する貴金属のひとつであり、世界を見渡すと金本位制に端を発し、古来より通貨としても使われてきた貴重な金属の一つです。この金ですが、実用上は「金」、つまり純金として使われることは一部の金箔や工業用途と資産価値を持つ金の延べ棒といった製品以外では稀で、各種製品やジュエリー、宝飾、工芸などの分野では他の金属と混ぜた「合金」として使われています。世界における金の用途の約半数は宝飾用途ですが、工業用途も約10%になり、貨幣や投資用金製品が焼く30%になります。
金が高価なことのほか、純度の高い金の状態のままだとやわらかすぎて加工がしにくく、加工したとしても変形してしまったり、傷がついてしまったりと種々の不都合が生じます。こうしたことから、金に他の金属を混ぜることで金合金として使われています。
金や金合金の持つ特性
錆びない金
K18以上の純度を持つ金は、酸化、硫化、腐食にきわめて強く、王水といった一部の例外的な薬品を用いない限り、腐食もしないので錆びない金属ともいえます。この程度は、金の純度が高いほど顕著になるため、K24以上の99.9%以上の金であれば、長い時代を経ても腐食しません。
ただし、銀は硫化に弱いため、金合金に銀の成分が多く含まれるほど黒ずみがおきることがあります。亜鉛やニッケルも同様で、これらも時間がたつと変色する金属であるため、高湿度の環境ではいっそう早く硫化がすすむこともあり、金が錆びたり、変色する多くの原因が金合金に含まれる他の金属が原因となっています。
金の腐食に強い性質を生かし、めっきやクラッド材といった表面だけが高純度の金で構成されている材料としても使われます。
引き伸ばすことができる展延性
わずか1gの金であっても、約2km近くまで伸ばすことができるとされます。金箔についても蒸着やスパッタ等の成膜技術を使わなくとも、膜厚は0.07μm程度まで薄くすることができるという特異な性質を持っています。
電気伝導性の高さ、低い電気抵抗
携帯電話や電子機器の集積回路に使われていることがありますが、これは金が電気をよく通す物質であり、薄く細く加工できる金属であることが関係しています。
生体親和性
チタンなどと並び、金はアレルギー等を起こしにくい貴金属であり、古くから金歯として歯科用途でも使われてきています。金のアクセサリーを身につけてアレルギー等を起こす場合、含まれている金以外の金属によるものということも多々あります。
金合金の成分
金の純度以外の部分は、銀と銅で構成されていることがほとんどです。ただし、これは金の色調に大きく影響するため、一般的な「黄金」をイメージさせるイエローゴールド以外のものであれば、銀と銅以外のものも成分として含まれます。たとえば、白色系の金合金であるホワイトゴールドであれば、金、銀、パラジウムの3元合金であったり、赤色系のレッドゴールドであれば、金と銅の2元合金といった具合です。なお、金合金における金以外の金属を「割り金」「割金」「わりがね」等と呼ぶことがあります。金の色は、この割金の比率でさまざまなバリエーションを持ちます。
色で分けた場合の金の種類
金合金は、金−銀−銅の3つの元素が基本的な成分で、これらの比率を変えることで特性や色調も変えることができます。
金の種類 | 成分の組み合わせ例 |
---|---|
イエローゴールド | 金−銀−銅 |
ピンクゴールド | 金−銀−銅−パラジウム |
グリーンゴールド | 金−銀 |
レッドゴールド | 金−銅 |
パープルゴールド | 金−アルミニウム |
ブルーゴールド | 金−インジウム、金−ガリウム |
ホワイトゴールド | 金−パラジウム−銀、金−ニッケル−亜鉛−銅 |
ブラックゴールド | ホワイトゴールドの表面をメッキや着色、酸化等で黒色化 |
ジュエリーの分野ではニッケルの金属アレルギーから、ニッケル系ホワイトゴールドは稀となっており、現在の主流はパラジウム系ホワイトゴールドになっています。このタイプのホワイトゴールドは、別名ソフトホワイトゴールドとも呼ばれます。
純度で分けた場合の金の種類
金合金を「色」と「成分」で分類した場合は上記のようなカラーゴールドのバリエーションになりますが、一方で、金にはその価値を決める「純度」=「品位」(ひんい)にも下表のような種類があります。貴金属の純度は、百分率であるパーセントではなく、千分率であるパーミルで表記する慣わしがあります。金や金製品に限っては、この純度をアルファベットのKであるカラットで表示することができます。
「純金」の表記や表示が使えるのは99.9%以上の金の純度を持つものだけのため、K24のみということになります。K24については他の金属を添加する余地がないため、カラーゴールドのバリエーションを作ることができませんが、たとえば、K18であれば、金は75%となるため、残りの金属に何をどのような比率で加えるのかによって、同じK18でも複数の種類の金が存在することになります。
また、同じイエローゴールドの金であっても、より黄金色に近いものから、赤色に近いものや、青味を帯びたものなど微妙な色調の違いを出すことができます。金の純度が高いほど黄金色が色濃く出ることから、不足している金を補いつつ、黄金色が薄まらないように成分を構成する場合もあれば、意図的に金色とは違う色味をつけたり、機械的性質を付与させる例もあります。
なお、金の純度の種類というのは、JIS規格で規定されたものと、造幣局の国家検定で規定されたもの、CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)で規定されたものの3種類があり、各規定で共通している純度基準もあれば、単独のものもあります。
下表で、例えば左列がK18とあるのは、金の純度がパーミルで750、パーセントであれば75%であることを示し、品位の表示としてはAu750となり、この基準を持つ規定は、造幣局の国家検定、JIS規格、CIBJOの3つの規定ということを意味しています。
カラット | 金の含有量‰(パーミル) | 金の含有量%(パーセント) | 品位区分 | 規格、検定の種類 |
---|---|---|---|---|
K24 | 999 | 99.9 | Au999 | 国家検定、CIBJO |
- | 986 | 98.6 | Au986 | CIBJO |
K23 | 958 | 95.8 | - | - |
K22 | 916 | 91.6 | Au916 | 国家検定、JIS規格、CIBJO |
K20 | 833 | 83.3 | - | - |
K18 | 750 | 75.0 | Au750 | 国家検定、JIS規格、CIBJO |
K16 | 666 | 66.6 | - | - |
K15 | 625 | 62.5 | - | - |
K14 | 585 | 58.5 | Au585 | 国家検定、JIS規格、CIBJO |
K12 | 500 | 50.5 | - | - |
K10 | 416 | 41.6 | Au416 | 国家検定、CIBJO |
K9 | 375 | 37.5 | Au375 | 国家検定、JIS規格、CIBJO |
K8 | 333 | 33.3 | Au333 | CIBJO |
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