木材の収縮率と膨張
木材はその組織内に水分を含有するため(生木中だと40〜80%以上)、切り出したばかりの木材と乾燥させた気乾状態の木材とでは寸法が異なってきます。木材は乾燥すれば収縮する素材です。
このときの収縮率は、木材の部位によっても左右されますが、板目板の幅方向で約3〜8%程度といわれています。含水率が1%で収縮は0.2〜0.4%変化します。柾目板の幅方向だとこれよりも収縮率はさらに低くなり、凡そ上記の半分、約1.5〜4%程度とされます。柾目板であれば、木裏を凸型にして反り返っていきます。
こうしたことから、木材の収縮率は繊維方向、接線方向、半径方向それぞれで異なりますので、使用する材料にあわせて個別に見ていく必要があります。
また、通直木理に沿った木材であればさらに収縮の影響は少なく、約0.3〜0.8%程度で、1%未満の収縮率とされます。
収縮率は木材が乾燥していくステップに応じてかなり値が異なりますが、次の計算式となります。
- 気乾状態になるまでの収縮率=(生材状態の長さ−1)/生材状態の長さ
- 全収縮率=(生材状態の長さ−全乾状態の長さ)/生材状態の長さ
- 平均収縮率=(気乾状態の長さ−全乾状態の長さ)/気乾状態の含水率
木材の収縮率の一覧
木材の収縮率は、木材内部(細胞に含まれる)の含水率に影響するため、密度、比重の大小によっても変わってきます。密度の小さい木材ほど収縮率や膨張率は少なくてすみ、反対に密度の大きい木材ほど収縮・膨張が大きくなる傾向にあります。また木材の方向によっても違います。下表に樹種別の収縮率(全収縮率)を掲載します。
ただし密度が同じであれば収縮率もほぼ同じになる傾向があります。
産地 | 木の種類 | 気乾密度 | 接線方向 | 半径方向 | 繊維方向 |
---|---|---|---|---|---|
国産材 | スギ | 0.37 | 6.57 | 2.68 | 0.19 |
ヒノキ | 0.41 | 6.43 | 3.07 | 0.25 | |
アカマツ | 0.58 | 8.93 | 4.82 | 0.20 | |
エゾマツ | 0.43 | 9.02 | 3.87 | 0.18 | |
カラマツ | 0.53 | 8.61 | 3.85 | 0.18 | |
キリ(桐) | 0.29 | 5.16 | 1.43 | 0.17 | |
ケヤキ | 0.62 | 6.29 | 3.70 | 0.65 | |
シラカシ | 0.99 | 14.07 | 5.39 | 0.43 | |
カツラ | 0.49 | 7.53 | 4.03 | 0.44 | |
ブナ | 0.68 | 11.50 | 5.02 | 0.37 | |
マカンバ | 0.65 | 7.58 | 5.24 | 0.44 | |
南洋材 | ライトレッドメランチ | 0.46 | 6.84 | 2.71 | 0.26 |
イエローメランチ | 0.48 | 7.42 | 2.48 | 0.20 | |
カロフィルム | 0.60 | 8.07 | 5.11 | 0.32 | |
ホワイトメランチ | 0.59 | 7.56 | 3.29 | 0.26 | |
アピトン | 0.71 | 10.76 | 5.33 | 0.21 | |
ラミン | 0.65 | 10.83 | 4.77 | 0.16 | |
米材 | ベイスギ | 0.32 | 5.0 | 2.4 | - |
シトカスプルース | 0.40 | 7.5 | 4.3 | - | |
ベイツガ | 0.45 | 7.8 | 4.2 | - | |
ベイヒバ | 0.44 | 6.0 | 2.8 | - | |
ベイマツ(コーストタイプ) | 0.48 | 7.6 | 4.8 | - | |
ニュージーランド材 | ラジアタパイン | 0.49 | 7.37 | 4.28 | - |
上表のうち、国産材と南洋材の気乾比重は含水率15%、米材とニュージーランド材の気乾比重は含水率12%の前提での値となります。
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