サンドペーパーの粗さについて
表面粗さに最も影響力のある「粒度=番手」
ものを研磨するための工具には、必ず砥粒の大きさの範囲が決められています。この砥粒の大きさの範囲を「粒度」といいますが、これが研磨する際に、加工しているものの表面の仕上がり具合、つまり面精度を決める最も大きな要素となります。したがって、どのくらいの粒度のものを使えばどの程度の仕上がりが期待できるのか、実際の加工を通じて経験的に知っておく必要があります。
砥石の種類によって番手の規格は違う
サンドペーパーに使う研磨材の粒度は、粗粒(P12からP220)についてはフルイを使って大きさを振り分けます。それ以上細かい「微粉」と呼ばれる粒度(P240からP2500)までは、フルイで分けるには細かすぎるため、沈降試験法や電気抵抗試験法によって大きさを分けていきます。砥石の粒度を調べる際に、気をつけねばならない点として、「砥粒や砥石の種類によって規格が異なる」という点が第一にあげられます。ダイヤモンドホイールやcBNホイールの粒度規格と、サンドペーパーの粒度規格は同じではありません。また外国にお住まいの方は、DIY用に購入された砥石の粒度表記が日本と異なることに気づかれたかもしれませんが、国によっても粒度の規格は少々異なります。こうしたことから、砥石の粗さを調べるときはどのような種類の砥石について調べるのかまずは特定する必要があります。
話を戻しますが、サンドペーパーの粗さを表記するのには、粒度という概念が使われます。一般には#220といった書き方をし、#はメッシュと呼びます。JIS規格では、Pという記号を数字の前につけて表記することになっています。また、番手(ばんて)が220、あるいは220番といった呼び方もされます。研磨材や砥石は使われる業界が文字通り千差万別ともいえる工具です。しかし、どの業界でも仕様や使う製品のスペック等が異なり、使う業界が違えば「標準」の基準も変わってしまいます。同じ仕様に見えても、DIY用と工業用とで異なるケースもあります。
サンドペーパーの粗さ表記、粒度の一覧
12番から220番までは「ふるい」を使って研磨材の大きさを選別します。ふるいは5段階あり、それぞれの「目開き(網目)」の大きさが違います。1段目が最も大きい目開きで、段々に細かくなり、最後の5段目が最も細かいものになります。累積網上量とは、5段目のふるいの上に残った粒子の割合です。
粒度 | 5段目のふるいの目開き | 累積網上量(%) |
---|---|---|
12 | 1.40mm | 92以上 |
16 | 1.00mm | 96以上 |
20 | 710µm | 96以上 |
24 | 600µm | 92以上 |
30 | 500µm | 92以上 |
36 | 425µm | 92以上 |
40 | 300µm | 96以上 |
50 | 250µm | 96以上 |
60 | 212µm | 92以上 |
80 | 150µm | 96以上 |
100 | 125µm | 92以上 |
120 | 90µm | 96以上 |
150 | 75µm | 96以上 |
180 | 63µm | 90以上 |
220 | 53µm | 90以上 |
サンドペーパーの場合、240番から1200番までの粒度の選別には、篩(フルイ)ではなく、「沈降試験方法」を用います。研磨材の粒子の大きさはすべて同じというわけにはいきませんので、どこからどこまでの範囲にどれくらいの割合の粒子があるのか、という方法で分けています。累積沈降高さというと難しく感じますが、要は下表の例でいえば、240番は最大の研磨材の粒子の直径が110マイクロメートル以下、95%の粒子径は44.5マイクロメートル以上という意味です。
粒度 | 最大粒子径 | 累積沈降高さ3%の粒子径 | 累積沈降高さ50%の粒子径 | 累積沈降高さ95%の粒子径 |
---|---|---|---|---|
240 | 110以下 | 81.7以下 | 58.5±2.0 | 44.5以上 |
280 | 101以下 | 74.0以下 | 52.2±2.0 | 39.2以上 |
320 | 94以下 | 66.8以下 | 46.2±1.5 | 34.2以上 |
360 | 87以下 | 60.3以下 | 40.5±1.5 | 29.6以上 |
400 | 81以下 | 53.9以下 | 35.0±1.5 | 25.2以上 |
500 | 77以下 | 48.3以下 | 30.2±1.5 | 21.5以上 |
600 | 72以下 | 43.0以下 | 25.8±1.0 | 18.0以上 |
800 | 67以下 | 38.1以下 | 21.8±1.0 | 15.1以上 |
1000 | 63以下 | 33.7以下 | 18.3±1.0 | 12.4以上 |
1200 | 58以下 | 29.7以下 | 15.3±1.0 | 10.2以上 |
微粉に分類される細粒のうち、1500番から2500番については「沈降試験方法」か「電気抵抗試験方法」のどちらかで粒度を選別することになっています。ただ、この場合、前者と後者とでは粒子径の範囲が変わりますので、より厳密にみる必要がある場合はどちらの試験方法によって粒度が決められたのか確認する必要があります。
※単位はいずれもµm
粒度 | 最大粒子径 | 累積沈降高さ3%の粒子径 | 累積沈降高さ50%の粒子径 | 累積沈降高さ95%の粒子径 |
---|---|---|---|---|
1500 | 58以下 | 25.8以下 | 12.6±1.0 | 8.3以上 |
2000 | 58以下 | 22.4以下 | 10.3±0.8 | 6.7以上 |
2500 | 58以下 | 19.3以下 | 8.4±0.5 | 5.4以上 |
粒度 | 最大粒子径 | 累積沈降高さ3%の粒子径 | 累積沈降高さ50%の粒子径 | 累積沈降高さ95%の粒子径 |
---|---|---|---|---|
1500 | 30以下 | 20以下 | 9.7±0.8 | 5.5以上 |
2000 | 20以下 | 15以下 | 7.5±0.6 | 4.0以上 |
2500 | 18以下 | 13以下 | 6.0±0.4 | 3.0以上 |
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