難削材の種類と加工方法

2012年12月16日更新

難削材は、加工しにくく工具の性能が発揮されにくい材料のことで、特に研削、切削、研磨において研削比、加工能率の低下や加工費用の増大を引き起こす要因ともなる材料です。

多くの工業製品では需要の多い材料であることから、現在では砥石の改良が進み、一昔前は難削材とされていたものでも加工しやすくなった素材もあります。

研削・研磨において、難削材とされているものの一例の以下の通り、表にまとめてみました。削りにくさにもいろいろタイプがあり、やわらかくて目詰まりが頻発するので削りにくいのか、砥石が目つぶれするほど硬い材料なので削りにくいのか、など難削材の種類も材料によりけりです。

難削材の種類

展性、延性が大きいために加工しくい材料
純鉄、純ニッケル、純銅、純アルミニウム
機械的な強度よりも、導電性や耐熱性といったその他のパラメータに着目して利用される金属は、総じて純度が高く、粘質材が多いです。
工具に切り屑が付着したり、工具に材料が反応しやすい、溶着などを引きこしやすい材料
軟鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン合金
いわゆる粘りや靭性があったり、切り屑の排出に問題を起こすタイプの素材です。
熱伝導率が小さいため、工具に熱がこもって研削・切削性能を低下させる材料
ステンレス鋼、チタン合金、耐熱合金、ニッケル合金、アスベストをフィラーとして使う樹脂・プラスチック
ワークと砥石が接触している研削点は時に1000℃を超えることもあります。こうした高温下では、砥石の砥粒が軟化、炭化などして性能を発揮しなくなります。ワークにも焼けのマークが付いてしまうことがあり、加工中の熱は極力逃がしてやる必要があります。
加工硬化しやすい材料
ステンレス鋼、ニッケル耐熱合金、高マンガン鋼、窒化鋼、耐熱鋼
一定上の力を加え続けたり、熱をかけることで表面が硬化してしまうタイプの材料です。切削に比べると研磨や研削では加工硬化の影響は見えにくいといわれていますが、研削の能率低下の要因になります。
高硬度の材料もしくは強度が強いために加工がしづらい材料
超硬合金、焼入れ鋼各種、セラミックス、特殊ガラス、強化ガラス、高張力鋼(ハイテン材)、ダイス鋼、工具鋼
現在では性能の高いダイヤモンドホイールやCBNホイール、特殊な金属にも対応可能なものが開発されており、ただ硬いというだけでは難削材とはいえないという人もいます。もっとも、実用上の最高の硬度を持つダイヤでも、耐熱強化ガラスや超硬、ダイヤモンド焼結体などは、損耗が激しかったり、加工に時間がかかったりするという意味では難しい素材です。

難削材の加工に適した砥石選び

ねばい材質、粘質材を加工するときは砥石の結合度を硬めに、硬質材の場合は、反対に結合度を軟らかめにしたものを使うとしっくりくることがあります。組織にしても同様で、軟らかい材質で削りにくい場合は、少し粗めで空隙の多い組織の砥石、反対に硬い材質で削りにくいということであれば空隙の少ない組織が詰まったものを使うとよいでしょう。

こうした素材の研削には、大きくダイヤやCBNなどの超砥粒系のものを使うか、アルミナやGCを使った研削砥石を使うかといった選択がまず必要です。

ダイヤやCBNなどの超砥粒タイプの砥石を使う場合、難削材の中でも非常に硬くて削りにくいというものは、ビトリファイドボンドか、メタルボンド仕様のものがよく使われます。

昨今はダイヤモンドホイールやCBN砥石も一般的に使われるようになってきたため、従来は難削材とされていた素材も、これらの使用によって解決できることもあります。

難削材の種類別の砥石適合表
難削材の種類 適した砥粒
ステンレス鋼  A、HA、GC、PA、CBN
C、GC
純アルミニウム C,GC
アルミニウム合金 PA
超硬合金 GC、ダイヤモンド
セラミックス GC、ダイヤモンド
耐熱鋼 GC、CBN
強化ガラス、耐熱ガラス ダイヤモンド

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