キャン材とフィン材の違いとは

2021年8月14日更新

キャン材、フィン材、自動車材、ディスク材とは、アルミ板の用途別につけられた呼称で、これらがアルミの板材における主要な用途とも呼応した表現です。それぞれ板材といっても使われているアルミ合金の種類が違い、また用途に応じて特殊な付加価値を付けるための製法・加工が施されています。

キャン材とフィン材の違いとは|目次
  1. キャン材とは
  2. フィン材とは
  3. 自動車材とは
  4. ディスク材とは

キャン材とは

キャン材は、キャンエンド材あるいはCAN材と表記されたり、呼ばれたりすることもありますが、名称が示す通り、キャンは缶(CAN)を意味し、ジュースや炭酸飲料をはじめとする飲料缶や液体貯留用の缶、あるいは缶蓋材の材料として使用されるアルミ合金の板材となります。アルミ合金需要の3割近くはキャン材と言われるほど規模の大きいもので、近年はリサイクルにおける省エネルギー、省資源効果の大きさも着目されています。

飲料缶のボディ材としては、3000系のアルミ合金、例えばA3004やA3104などが使われます。

エンドやタブ材としてはA5182といった5000系のアルミ合金が採用されます、

アルミはもともと加工性がよく軽いという特徴があるうえ、速く冷えてガスバリア性や遮光性にも優れているため、飲料の風味を保持する性能に長けています。こうしたことから、例えばビール缶の99.9%はすでにアルミが使われています。ビール瓶と比較しても半数以上はアルミ缶と言われるほど需要が大きいものとなります。

フィン材とは

エアコン室内機用フィンに使われるアルミフィンの材料を意味しています。エアコンをフィルター清掃のためにあけると、金属の薄い板がびっしりと並んでおり、わずかな衝撃でも曲がったりしてしまう部位ですが、これがフィンとなります。

アルミ合金の種類としては、A1200などの1000系の純アルミが使用されます。この材料は後述する通り、コーティング等によっていかに板材の表面に高親水性を付与するかが付加価値となります。

熱交換器には必須部位で、特に冷房運転時の結露防止機能を付与する為、フィン材の表面に親水性塗膜をつけた親水性フィン材が一般的に流通しています。この部分に高親水性を付与することで、水飛びを防止することができます。ルームエアコン、パッケージエアコン、大型冷凍機、熱交換器にはいずれも熱交換器用フィン材が必要となり、大きな需要を占める一角となっています。

自動車材とは

流通量が大きい産業の代表格でもある自動車分野の用途として、アルミ板材では自動車パネル用アルミ合金やラジエータ・カーエアコン等の自動車熱交換器材、リチウムイオン電池ケース、ボンネット、フェンダー、バックドア、トランクリッド等に使われます。高強度ラジエータ用アルミチューブ材としても使用されます。

自動車の熱交換器のうち、コンデンサはほぼアルミ一択、ラジエターもほとんどがアルミとなります。ア自動車全体のアルミ使用比率は板材だけでなく鋳物や形材などを合計しても、他の比強度の優れた素材やコストの影響もありあまり高くはありませんが、他の材料では代替がなかなか効かない部位もあります。

ディスク材とは

ハードディスク基板には、アルミニウム合金が使用されています。種別としては5000系のものやメーカーが独自開発した材料のシェアが高い分野です。パソコン、サーバーをはじめ、テレビ録画機能のついたHDDには欠かせない部材であり、ガラス基板かアルミ基板が使われますが、7割以上はアルミとされます。性能上、平坦度や板へのメッキの平滑性の向上が肝となる分野で、HDDの高性能化とともに要求精度も上がり続ける様相です。

上記はアルミ板の主用途の例ですが、以外にも形状・形態違いではアルミサッシなど住宅部材や土木・建材、航空機、鉄道車両、船舶、LNG船用タンク、燃料タンク、印刷板といった用途もあります。

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