金属の和名での一覧|昔の日本での金属の呼び名、俗称について

2017年11月6日更新

金属の名称にも、和名ともいえる古い時代に使われていた呼び名があります。鉄や銅、鉛、金、銀といった名称の俗称ともいえますが、古くは五行思想と結びついており、五金とも呼ばれる五種類の金属について下表のような呼び方がされていました。伝統的な金属工芸の世界では現在でもこうした言い方で金属が呼ばれることがあります。

この5種類の金属となる五金は、五色に対応しており、五行−五色−五金といった具合に、セットで見るとわかりやすいかもしれません。色も、五行に割り当てられており、正色と間色という二種が配当されている形となっています。

金属の和名と五行、五色の関係
金属の種類 和名 読み方 五行 正色 間色
青金 あおがね
赤金 あかがね
黄金 こがね 驪黄(りくおう)
白金 しろがね 縹(はなだ)
黒金 くろがね

日本に古くから伝わる陰陽五行説の考え方では、五行とは「木」「火」「土」「金」「水」の五要素を指し、究極的には、これらが世界のあらゆるものを構成する最小単位ということになります。これ故、色をはじめ、あらゆるものに「五行」の要素を当てはめてみるようになります。金属についてもこうした五行思想を当てはめたひとつの形ともいえます。

また上記とは別に、金属の和名は他にもあります。

五金以外の金属の和名

玉鋼(たまはがね)

和鋼ともいい、たたら吹きと呼ばれる日本古来の製法で作られた鋼です。日本刀に使われることがよく知られていますが、当時の鍛冶では、刃物全般に使われていたようです。

炭素量が1〜1.5%程度とされていますが、酸化物系介在物が多いとされ、現代の鉄鋼材料にはない特質をもち、折り返し鍛錬する製法(純度を高めていく)でその真価を発揮するため、日本刀や刃物に特化した材料ともいえます。炭素量だけを見れば、工具鋼に近いものとなりますが、日本刀の持つ粘り強さを見てもわかるとおり、単純比較は難しいです。

玉鋼のグレードは、1級A、1級B、2級A、2級B、銑鉄(せんてつ)、卸鉄(おろしてつ)と6種類に分かれていますが、1級Aは現代でも一度の操業でできる量が限られているため貴重な和鋼の一つです。

紫金(しきん)

紫金と書いて「しきん」と読みます。赤銅にある複数のグレードのうち、その一つの別名として使われていました。赤銅は銅合金のうち、銅に金を若干混ぜた合金で、これ自体も和名といえます。赤銅は、金の含有する割合で色が変わりますが、紫金となるのは、八分挿しといわれる金の含有率が7〜10%程度のものとされます。ただ、色は紫というよりは、紫がかった黒に近い色です。

赤銅 (しゃくどう)

銅と金の合金です。金の含まれる割合で色が変わり、名称も異なります。金が1%含まれる銅合金を一分挿し、3%ならば三分挿し、5%ならば五分挿し、8%ならば八分挿しとなります。

青銅(せいどう)

銅と錫の合金で、ブロンズとも言われます。現代では、これらに「りん」を追加したりん青銅やアルミニウムを添加してあるアルミニウム青銅なども規格化されています。

白銅(はくどう)

銅とニッケルの合金です。見た目が白く、さらに亜鉛を添加したものは洋白(洋銀)とも呼ばれ、銀の代用品として使われてきた合金です。キュプロニッケルとも言われます。

黄銅(おうどう)

銅と亜鉛の合金です。工業用、消費財用はじめ、現代でも幅広く使われる銅合金の一つです。黄銅としては、丹銅、雷管用黄銅、七三黄銅、六四黄銅などが規格化されています。

丹銅は、含まれる亜鉛の量でかなり色味が変わります。5%程度であれば赤銅色ですが、10%に増えると黄色がかった赤となり、オレンジ色、緑がかった黄色、最終的に40%近く亜鉛が含まれていると黄金色になります。

佐波理(さはり)

砂張とも書きます。銅と錫、鉛の合金です。亜鉛や銀が少量混ぜられることもあります。主成分は銅と錫であるため、青銅の亜種ともいえます。主として響銅、仏具、水差しや工芸品等に使われていました。響銅に使われていることからもわかるとおり、響きがよいとされます。

四分一(しぶいち)

銅と銀の合金です。朧銀(ろうぎん、おぼろぎん)とも呼ばれます。銀の含有率がそのまま名称になっています。つまり、銅75%に対し、銀が25%ということになりますが、実際の比率にはバリエーションがあり、金属工芸の世界では煮色仕上げ後の色を考慮して使い分けられています。一般には、暗めの銀灰色になりますが、金を若干添加することも行われます。

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