ヤング率を用いて変形量を計算する

2015年9月14日更新

変形量の計算は、ヤング率(縦弾性係数)を用いることで簡単に行うことができます。ある力が加わった時、材料がどのくらい変形するのか、という値となりますが、力については単位面積当たりの力に換算して計算を行います。基本的には、力と変形量は比例関係にありますので、加える力が大きくなるのにつれ、変形量も段々と増していきます。

計算するのに必要なデータは、「材料に加えることになる単位面積当たりの力」「材料の元の長さ」「ヤング率(縦弾性係数)」の三つとなります。

ただし、これは「弾性範囲内」での計算となります。弾性範囲とは、力を加えるのをやめたときに材料が元の状態に戻る範囲内のことで、すべての材料は降伏点(耐力)を超える力を加えてしまうと、もとの形状に戻らず、永久ひずみができてしまいます。ヤング率を用いた変形量の計算は、あくまで弾性範囲内の力が加わったときの変形量となります。

以下、材料に力が加わった際の変形量を導き出す計算式を順に見ていきます。

まず、ひずみについては、

ひずみ=変形量/元の長さ

で表すことができます。

ヤング率と加える力との関係は、下記となる為、

ヤング率(縦弾性係数)× ひずみ = 単位面積あたりの力

この式を置き換えると、ひずみ=変形量/元の長さ となっているため

ヤング率(縦弾性係数)× 変形量/元の長さ = 単位面積あたりの力

変形量を中心に換算すると、

変形量=【(単位面積あたりの力)×(元の長さ)】/縦弾性係数

という式になります。

計算例:

長さ800mmの鉄鋼棒材があったとします。

この両端から、100N/mm2の引張り方向の力を加えた場合、以下となります。

この鋼の棒材のヤング率を206x103Nとすると、

変形量=100N/mm2 x 800mm / (206x103N) ≒ 0.388mm

このため、100N/mm2の力を加えると、この鉄鋼の棒材は800.388mmまで変形することがわかります。

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