ゴムのバウエル成形とは

2021年9月5日更新

バウエル成形とは、予備成形機のメーカーであるイギリスのBarwell社の予備成形機・押し出し機を使った予備成形工程のことを意味しています。バウエル予備成形ともいい、英語では、Preformer(プレフォーマー)、Extruder(押出機)に分類されます。

ゴム製品の製造方式は大きく分けると、プレス成形(圧縮成形)であるコンプレッションと射出成形であるインジェクションの2種類に分けることができます。比較的規模の小ロットの製造の場合は、プレス成形がよく使われます。プレス(圧縮)成形用生地には必ず予備成形がいります。

この方法は、金型の中に計量したゴム材料入れて圧力と熱をかけて加硫成形するというシンプルなものですが、ゴムを金型にセットする前に、予備成形を行って材料のばらつきを抑えてある程度均一にする必要があります。バウエル成形はゴム金型に入れるまでに形や成分を整える役割を担っています。

バウエル成形では、予備成形機から金太郎あめのように押し出されて出てくるチューブ状にしたゴムを次々に適切な分量になるよう輪切りに切っていき、それを金型に入れて圧力と熱をかけて成形し、加硫してゴム製品を製造していく流れになります。

圧縮成形(コンプレッション)自体が、時間当たりの生産効率という点では、射出成形には及ばず、手間や工数がかかる技法ですが、その一つの要因がこの予備成形工程が必要という点にもあります。

ゴム製品の種類によってはこの工程だけは加硫時間が足りず、二次加硫と呼ばれる追加の工程が必要な場合があります。最初の加硫条件では時間と温度の関係から加硫が完了せず物性が安定しないことから行うことになりますが、二次加硫のための設備と時間が必要なことからさらにコスト高となってしまいます。成形物とその単価にもよりますが、インジェクションが主流となる現在では、コンプレッションとセットになるこのバウエルを行っている品種や加工場所も限られつつあるといえます。

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