ゴムの種類と特性、物性について
ゴムには天然ゴムと合成ゴムがあり、技術の発展とともに様々な種類のものが開発されてきています。ゴムも樹脂の一種であるということもできますが、両者は材料の高機能化が進めば進むほどわかりにくくなってきています。いわゆる熱可塑性樹脂とゴムとの違いはJISの規格に依拠するのであれば、ベンゼンやエタノールなどの溶剤に入れても溶けないもので熱や圧力で簡単に再成形されない(熱や圧力で変形しても恒久的な変形をしない)、室温で長さが2倍になる、緩める前に1分間その状態を維持しても1分以内に元の長さの1.5倍未満に収縮する、など細かく定義されています。
製法や原料からゴムかそうではないかを区別したほうが分かりやすいかもしれません。もっとも、材料を加工したり使う上ではゴムなのか樹脂なのかという分類よりは実際の物性、性質のほうが重要と言えます。
製法によって大別する場合、ゴムは加硫ゴムか熱可塑性エラストマー(TPE、サーモプラスチックエラストマー)に分けられます。加硫ゴムは名称の示す通り、硫黄を架橋反応のために使いますが、熱可塑性エラストマーは加硫が特に必要なく、常温ではゴムの特性を示していますが、高温になると熱可塑性樹脂と同じような特性になります。
ゴムの種類は主鎖にどのような物質を持っているかによってさらに細かく分けられ、何と何の共重合体なのか等によってさらに詳細に分けることができます。
工業材料として見た場合、他の金属やセラミックス、ガラス、コンクリート等から比べていくつか特異な性質をもっています。一例として挙げれば次の通りです。
- 変形しても元の形状に戻る(10倍以上伸びるものもある)
- 硬さを調整できる
- ゴム弾性(弾性率の幅がとても広い)
- 機械的強度がある
- 接着性、粘着性、加工性等に優れるタイプもある
ゴムが使われる産業分野は広く、様々な機械・装置の基礎部品の一部としても使われますが、主要な適用分野を見ると、次のような目的での採用が目立ちます。
- ショック・衝撃・振動を分散する目的
- パッキンなど封止や何かが漏れるのを防ぐ目的
- 絶縁体として
- 防水・衛生用として
- 動力用として
ゴムの硬度計測にはデュロメータと呼ばれる硬度計を用います。デュロメータには硬さに応じて一般のゴム用と、スポンジ用があります。硬さに応じていくつか種類があり、使い分けられています。
なお、ゴム材料の研削や研磨作業には多くの場合、電着砥石(電着ホイール)が使われますが、ゴムそのものが加工中の熱により溶ける、切り屑が砥石に絡みつくなどの特有の問題もあるため、加工条件を含め工夫が必要です。またほとんどのゴムはカーボンブラック等を入れており、ゴム材料と他材料との同時研削などでは色が移ったりする等、難度の高い加工になります。
ゴムの種類と一覧
- 天然ゴム(NR)
- 合成天然ゴム(IR)
- スチレンブタジエンゴム(SBR)
- ブタジエンゴム(BR)
- クロロプレンゴム(CR)
- ブチルゴム(IIR)
- ニトリルゴム(NBR)
- エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)
- クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)
- アクリルゴム(ACM)
- ウレタンゴム(U)
- シリコーンゴム(VMQ、PVMQ、FVMQ)
- フッ素ゴム(FKM)
- 多硫化ゴム(T)
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