ブチルゴム(IIR)の成分、用途、特性、物性(比重、耐熱性、硬度)、耐薬品性について
耐侯性、耐熱性、耐オゾン性、耐ガス透過性などに優れた合成ゴムです。特徴としては、耐水性に優れ、水の吸着性が他の合成ゴムに比較して低く、極性溶剤についての耐性も良好です。また反発弾性が小さいため、振動吸収の用途では無類の性能を発揮します。主な用途としては、自動車等のタイヤチューブ(インナーチューブ)、電線被覆、ホース、耐熱コンベヤベルト等があります。エチレンプロプレンゴム(EPDM)との相性が良いため、まぜて使われることもあります。この場合、両者は補完的に作用するとされます。欠点としては、ゴム弾性が低く、耐摩耗性が劣る、加硫速度が遅い等があげられます。またEPDM以外の合成ゴムとの親和性は良くないため、組み合わせのバリエーションは多くありません。
成分、構造 | イソブチレン・イソプレン共重合体 | |
---|---|---|
純ゴムの性質 | 比重 | 0.91から0.93 |
ムーニー粘度 ML1+4(100℃) | 45から80 | |
物理的性質および耐性 | 硬度の範囲(可能な範囲。JIS硬さ) | 20から90 |
引張強さ(kgf/cm2) | 50から200 | |
伸び(%) | 800から100 | |
反発弾性 | あまり良くない | |
引き裂き強さ | 良 | |
耐摩耗性 | 良 | |
耐屈曲亀裂性 | 優 | |
耐熱性(使用可能な温度の範囲、℃) | −60から150 | |
耐老化性 | 優 | |
耐光性 | 優 | |
耐オゾン性 | 優 | |
耐炎性 | 悪い | |
電気絶縁性(Ω・cm)(体積固有抵抗) | 1015から1018 | |
ガス透過性(cc・cm/cm2・sec・atm) | 0.9から1.0 | |
耐放射線性 | 悪い | |
耐油性、耐溶剤性 | ガソリン、軽油 | 悪い |
ベンゼン、トルエン | あまり良くない〜良 | |
トリクレン | 悪い | |
アルコール | 優 | |
エーテル | あまり良くない〜良 | |
ケトン(MEK) | 優 | |
酢酸エチル | 優 | |
耐酸性、耐アルカリ性 | 水 | 優 |
有機酸 | あまり良くない〜良 | |
高濃度無機酸 | 優 | |
低濃度無機酸 | 優 | |
高濃度アルカリ | 優 | |
低濃度アルカリ | 優 |
ゴムの種類の一覧
- 天然ゴム(NR)
- イソプレンゴム(IR)
- スチレンブタジエンゴム(SBR)
- ブタジエンゴム(BR)
- クロロプレンゴム(CR)
- ブチルゴム(IIR)
- ニトリルゴム(NBR)
- エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)
- クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)
- アクリルゴム(ACM)
- ウレタンゴム(U)
- シリコーンゴム(VMQ、PVMQ、FVMQ)
- フッ素ゴム(FKM)
- 多硫化ゴム(T)
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