ゴム配合におけるphrとは何の単位か
ゴムの配合表に使われる単位であるphrは英語のpart per hundred parts of rubberの略で、重量100のゴムに対して配合薬品や配合物がどれくらいの重量の添加が必要かを示すものです。例えば、カーボンブラック(通常はメーカーの商品名で記載されています)が50 phrとある場合、ゴムが100グラムであれば50グラムのカーボンブラックを添加するということを意味しています。これが老化防止剤について1 phrとあればゴム100の重量に対して1の重量の老化防止剤を配合するということになります。つまり、ゴムが100とした場合に、何%の重量とすべきかが一目瞭然でわかる仕組みです。
ポイントは、ゴムが常に100 phrで固定されており、他の配合物はすべてこのゴムが100の場合に添加する重量を示すことになる点です。
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ゴム配合表に使われる固有の単位
この単位はゴムのレシピともいえる配合表の作成に固有のもので、他の分野ではあまり見ることがないものです。というのも、ゴムは原料ゴムであるポリマーに様々な配合薬品、例えば加工助剤、活性剤、老化防止剤、カーボン、オイル、加硫剤、加硫促進剤といったものを添加して使用します。
この際、それぞれの物質を足したり引いたりすることで、求めるゴムの性能を引き出すための試行錯誤が行われます。状況によっては配合する薬品の一つだけ少し添加量を増やすこともあります。極端な事例では多数の配合薬品のうち、ある1種類だけの量が違うというバリエーションが持つゴム配合も多数存在するということです。
こうした配合ゴムの多様化の前には頻度の高い試行錯誤も行われており、ゴムを常に100としてみたほうが1物質のみの変更にも対応しやすく、重量%といった比率で表示すると、ある添加物を一つ変えると配合する量に応じて他のすべての重量%も変えないといけないということになり、計算が煩雑になります。
同じゴムの種類でも配合は各社のオリジナルレシピ
この単位の根底にあるのは、そもそもゴム製品の製造において、その求める特性を出すためのコアともいえる「配合ゴム」を中心にした発想です。ゴムは配合物の内容次第で、同じ種類のゴムでも様々な硬度、特性を出す素材です。
したがって、鋼材であればJIS規格にある規格材を選択すればある程度の物理的特性が規定されていますが、ゴムの場合は「ゴム配合」によってまさに千変万化の様相を呈するという違いがあります。天然ゴムであるNR一つとっても、そのゴム配合は多数のバリエーションがあり、まさに無数にあるといっても過言ではありません。配合によってゴムの特性が変わってしまうということです。ゴムのJIS記号だけからは、そのゴムがどのような特性を出すように配合するかまでは決まっていませんので、ゴムメーカーの技術がものをいいます。
多くのゴム製品の専業メーカーでは、ゴム配合を固有の記号で示し、いわばその記号が分かればどの配合かわかるようにしています。もちろん、こうしたレシピは一級の機密情報でありゴム専門メーカーのノウハウですから、含まれている物質が何かを推測することができないような番号体系であることが前提です。
こうしたゴム配合ごとに配合表は存在し、そこに使われる単位が上述のphrということになります。
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