白錆と赤錆の違い|赤錆、白錆の成分と発生原因について

2017年11月19日更新

白錆(しろさび)とは、アルミニウムや亜鉛の表面に見られることのある錆のことです。対して、赤錆(あかさび)は主に鉄鋼に見られる錆となります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

金属の種類によって生成される錆の色に違いが生じますが、これは主として錆の成分に由来します。錆は金属が腐食することによって発生しますが、その過程ではさまざまな腐食生成物がその表面に形作られていきます。金属によってこの腐食生成物の種類が違うため、「錆の色」も違うわけです。

白錆と赤錆の正体が一体何か以下に見ていきます。

白錆の成分と発生原因

アルミの白錆

アルミニウムは主として、アルミニウムの純度が高い純アルミと、添加元素を加えて強度を高める等したアルミ合金とに分類されますが、こと錆や腐食についてみた場合、純アルミのほうが錆びにくく、耐食性にも優れています。

アルミニウムは乾燥している空気中では、瞬時にその表面に酸化アルミニウム(Al2O3)の薄い膜を形成します。厚さは約2.5nmという極めて薄い膜です。これが不動態皮膜とも呼ばれるもので、これによってアルミを錆びにくいものにしています。一部、アルミは錆びないとの誤解されることもあるほど、強固な自然の保護皮膜です。

ただ、この皮膜がある状態でも、湿度のある大気中に放置したり水がかかると、この酸化アルミニウムが水和酸化物に変化し、厚さも50nm〜100nm前後と、20倍近くまで膨れ上がります。これが水和酸化アルミニウムとも呼ばれ、結晶の形の違いによってベーマイト(Al2O3・H2O)、バイヤライト(Al2O3・3H2O)、ギブサイトと呼ばれる水和酸化物になります。これらの腐食生成物は白色をしており、白錆とはつまりこれら物質のことになります。

アルミが錆びる原因というのは、この表面を覆っている不動態皮膜が完全に剥がれるか、部分的に膜に穴が開いてしまうことで起きます。したがって、白錆がある状態だからといって、腐食が進んでいたり、酸化アルミニウムの下のアルミ本体にまで錆が進行しているとは限りません。

アルミの場合、酸性やアルカリ性の環境や液体でこの膜が壊されるほか、銅や鉄鋼、ステンレスなどと接する環境でさらに水がかかるような場所においておくと、その接触部分から錆びが成長し、腐食していきます。いわゆる「もらい錆」です。

亜鉛の白錆

亜鉛を使うことはあまりないと誤認されがちですが、鉄板や鉄鋼材料の表面の多くには錆を防ぐ目的で亜鉛めっきが多用されていますので、鋼板や鉄板の表面に白錆が出ているように見えるのはこの亜鉛に由来するものです。鉄そのものの錆というのは、赤錆か黒錆になります(酸素の少ない場所ではごくまれに緑色の錆)。

亜鉛の表面には、大気や水のある場所では水酸化亜鉛(ZN(OH)2)の薄い膜ができています。この膜自体にも錆を防ぐ効果はあるとされますが、実際には、水酸化亜鉛が二酸化炭素と反応して生成された塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3・3Zn(OH)2やZnCO3・Zn(OH)6・H2O、ZnCO3・Zn(OH)2)が錆を防ぐ主役となっています。

この物質は色が白い(あるいは灰白色に見えることもあります)ため、白錆と呼ばれます。亜鉛の錆成分には、炭酸亜鉛が検出されることもありますが、この物質はあまり組成が安定していないため、実際にはこの塩基性炭酸亜鉛の形で存在しています。

赤錆の成分と発生原因

鉄鋼材料、特に炭素鋼と呼ばれる一般的な鋼の場合、錆のおおむね赤錆か黒錆のどちらかになります。黒錆は鉄鋼材料の表面を保護する性質を持ちますが、赤錆は腐食が進行すると鉄そのものがボロボロになり、最後は風化してなくなってしまいます。

この赤錆ですが、単一の物質というわけではなく、結晶構造の違う多数の鉱物の名称で呼ばれることがあるとおり、他の金属の錆に比べても様々な腐食生成物が混在していることがわかっています。

一般的な鉄に発生する赤錆は、水酸化第一鉄(緑色や白色)がまず生成され、これが酸化され水酸化第二鉄(赤錆)に変化し、さらに結晶化することでオキシ水酸化鉄になったものです。オキシ水酸化鉄には化学組成は同一でも結晶構造の異なる同質多形のバリエーションがあり、レピドクロサイト、ゲーサイト、アカガネイトなどが知られています。

さらにこのオキシ水酸化鉄が成長すると、いわゆる酸化鉄に括られる四酸化三鉄(Fe3O4,マグネタイト)が形作られてきます。これは黒錆とも呼ばれる黒色ですが、もっとも、これがまた空気中に触れるとヘマタイトと呼ばれる赤錆に変化していくこともあります。

赤錆と白錆の違い
- 赤錆 白錆
発生する金属 炭素鋼などの鉄鋼材料 アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金
主な成分 酸化水酸化鉄(FeO(OH))、水酸化第一鉄(Fe(OH)2)、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)、オキシ水酸化鉄(FeOOH)[同質多形:ゲーサイト(針鉄鉱、α-FeOOH)、レピドクロサイト(鱗鉄鉱、γ-FeOOH)、アカガネイト(赤金鉱、β-FeOOH)]、ヘマタイト[赤鉄鉱、α-酸化第二鉄(α-Fe2O3)]、マグヘマイト[磁赤鉄鉱、γ-酸化第二鉄(γ-Fe2O3)] アルミニウム:水和酸化アルミニウム[ベーマイト(Al2O3・H2O)、バイヤライト(Al2O3・3H2O)、ギブサイト]

亜鉛:炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3・3Zn(OH)2やZnCO3・Zn(OH)6・H2O、ZnCO3・Zn(OH)2
発生方法 鉄イオンが溶け出すことで起きる。水酸化第一鉄→水酸化第二鉄(赤錆)→オキシ水酸化鉄(赤錆)→四酸化三鉄(黒錆)もしくは酸化第二鉄(赤錆)→酸化第二鉄(赤錆)といった具合に、腐食生成物の成分は、酸化・結合・還元・脱水・結晶化などで様々な形に部分的に姿を変えていく。 基本は、金属表面にできた酸化物が大気や水分と反応し、腐食生成物である白錆を作り出す。
錆の性質 放置すると錆・腐食が進行し、金属をボロボロにしてしまう。 金属が裸の状態で空気や水分に触れることを防ぐ保護膜の役割をもつ。特に亜鉛に由来する白錆はそれ自体が腐食を防ぐ耐食性を持つ。アルミの場合、酸化皮膜が腐食を防ぐが、その上に生成される水和酸化物が白錆と呼ばれる。酸化皮膜が健在なうちは、アルミ本体は腐食しない。

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