洗い替えの意味とは
ビジネスでの洗い替えとは、1.在庫金額(棚卸資産)の評価方法である洗替方式のことを意味している場合、2.決算期に各科目の残高を適正な金額に更新することを意味している場合、3.資産負債の簿価を評価計上する方式である洗替法を意味している場合、4.賃金制度における洗い替え方式を意味している場合があります。
「洗い替え」という用語自体には、リセットする、更新するというような意味合いがあります。ビジネスや実務では、単にリセットする、更新するという表現のかわりに洗い替えという言い方をする方もいますので、一体何を意味しているのか文脈をよく理解する必要があります。
1.在庫金額の評価方法である洗替方式
今は低価法と呼ばれることが多いです。原価法(個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法のいずれか)により算出された取得価額と、期末の棚卸時の時価のうち、いずれか低い方を取得価額として評価する方法です。
在庫金額をいくらで評価するかというのは決算における利益に影響があるため、どの方式を選択するかというのは影響の大きい問題です。価格の変動が大きいもの、特にモデルチェンジや型落ちなどで価格が大きく下がったり、在庫の価値がなくなってしまうようなものは、そのときの時価で評価が可能な低価法(洗い替え方式)が適しているとされます。
2.決算期に各科目の残高を適正な金額に更新することを意味している場合
決算処理の際には、減価償却や棚卸のほか、未収入金や前受金、未払費用や前払費用などを正しく計上する必要があります。このとき、通常とは異なる決算期特有の会計処理が実施されますが、この一部として洗い替えを行う、つまり更新処理を行うという用語の使われ方がなされます。
例えば、前期末残高を減少処理を行うと同時に、当期末残高の計上仕訳とするような場合、洗い替えするという言い方が使われます。
3.資産負債の簿価を評価計上する方式である洗替法
「洗替法」は資産負債を評価する際に用いる処理方法です。価値が下がってしまったものを、下がったときの価格で計上してしまうと、実際の取引価格との間には差異が出てしまいます。この為、いったん帳簿で計上した評価損益を、リセットして翌期首に取得価額に戻すという会計処理を行い、これを洗い替え法と呼称しています。この方法では、実際に動いた取引額で資産負債を計上することで、帳簿の客観性を担保します。
4.賃金制度における洗い替え方式
こちらは人事制度、給与制度にかかわる分野で使われる洗い替えの表現です。
日本企業の多くは積み上げ方式と言われる給与制度をとっておりこれはこれまで支給してきた給与をベースに、評価に応じて昇給させていく方法です。今年が30万なら、昇給(または降格)により、ここから給与を上げ下げするとうことです。高評価なら給与は上がり続けますが、業績が悪くても今までの給与基準をリセットにするわけではないので、会社の運営には支障をきたす場合があります。
反対に、賃金・給与制度での洗い替え方式は、これまでの支給額とは無関係に、毎期、給与の支給額をあらたに設定する方法です。前年の支給額がどうだったかというのは考慮されず、毎回リセットされたうえで、一定期間の評価結果によって給与が決まります。評価方法や基準、業種によっては、給与が乱高下する可能性がありますが、一発逆転のようなことが毎回発生します。
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