段ボールパレットは平面強度やうねりがデメリット
パレットのコストとして最安ともいえるのがダンボール(カートン)で作られたパレットです。貿易ではどのみち使い捨てとなることが多く、これを前提に考えた場合、価格重視のワンウェイのプラスチックパレットや木材パレットと比較してもコストメリットがあります。
特にグループ会社間の取引では荷材のコストはどちらが負担するにしてもグループとしてはコストに変わりありませんので多少のリスクがあっても費用を抑えたいと考える企業も多いです。以下のメリット、デメリットを比較したうえで選択したいところです。
実際、当社ではパレットをすべてダンボールパレットに変更しましたが、2件ほどパレットに起因する破損は起きました(ただし荷崩れのみで箱内の製品にはダメージ無し)。いずれもダンボールの面強度の弱さと荷重の偏在によるものです。一定以上の重量を持つパレットを上段に積まない等の対策を行いました。
メリット
コスト削減
段ボールパレットは価格が安いため、輸送コストを抑えることができます。メーカーにもよりますが1パレットあたり樹脂パレットに比べて30%前後のコストダウンが可能です。
リサイクル性
段ボールパレットは環境面で優れており、リサイクルが容易です。廃材処理にあたってプラスチックと違って費用が掛からないことが多いです。再利用不可の樹脂パレを費用をかけて処分しているならこの費用も含めてコスト検討の余地があります。
軽量
樹脂パレットと比較して軽量であるため(6キロ前後〜重くても10キロ未満)、輸送重量の削減につながります。樹脂パレットの重さ20〜30キロとしても1パレットが6キロ前後になりますので、取り扱いが容易になるほか、1パレット当たりの総重量(グロス重量)が下げられますので、状況によってはコンテナ当たりに積載できる製品量を増やせます。
使い捨て可能
一回限りの使用に適しており、返送の必要がありません。
デメリット
耐久性の低さ
繰り返しの使用には向いておらず、長期的な使用には適していません。つまりワンウェイでの使用のみで、リターナブルでのパレット使用は不可です。
またワンウェイ使用でも輸送期間が40〜50日程度であれば特に問題はありませんが、着荷後に倉庫で長期保管する場合や後述する湿気や水分の問題には気を付ける必要があります。
重量物への不適合
重い貨物の輸送には適していません。動荷重や静荷重については木製や樹脂パレほどにはありませんので取り扱いに注意が要ります。
また特に注意すべきは平面の強度です。段ボールパレットはダンボール製のゲタに段ボールの板が載っている構造ですが、ダンボールの板というのはフルートが何重かになっていても、強度がそこまで出ません。段ボール自体が面で受ける構造ではなく、壁で重さを受ける構造をしているので面での耐荷重にはもともと課題がある荷材です。
半面、ダンボールのゲタはかなりの強度があり、早々破壊されませんが、ダンボールパレットにした場合、広い面で重さを受けますのでここがうねってしまうことがあります。特に湿気を吸うと余計にこの現象が目立ちます。
水濡れや湿気に弱い
海上輸送では水濡れのリスクが高く、段ボールの強度が低下する可能性があります。これは湿気についても同様で、高温多湿環境では本来の強度が出ないことがあります。
コンテナの天井の穴や亀裂から雨水が浸入し、段ボールパレットが水濡れすることで強度が低下すると、貨物の荷崩れにつながる可能性があります。ただしこの問題は段ボールパレット固有の問題ではなく、雨水侵入による錆やカビ、水濡れのダメージは他のパレットであっても個装箱やパレタイズの状態によってダメージを受けます。
赤道直下を通る場合等、湿度差がある地域での移動ではコンテナ内の結露が要因でダンボールがしけってしまい、うねりがでたり、強度が低下する場合があります。
使用条件により不安定化、荷崩れのリスク
樹脂パレットと比較して面での安定性が低く、荷崩れの危険性が高まる可能性があります。これは1つのパレット内で重さに偏りがある場合も同様です。本来パレット内の重量の偏りはなくすように積みつけるのが基本ですが、完全には均せませんのでリスクは残ることになります。
この安定性の弱さについては、揺れに対する耐性にも影響するので、海上輸送中の揺れや振動により、段ボールパレットが変形または破損し、貨物の安定性が損なわれる可能性があります。
使用してみた率直な感想では、軽量物(1パレット500キロ前後)や重量差のある積み付けをしない限り、きちんとパレタイズしたものが破損ということは今のところ見たことがないです。800キロ〜1トン以上のものを運び、パレットの状態で倉庫でも保管する、というような場合は樹脂や木製、スチールのほうがよいでしょう。段ボールパレットを使用開始する前に、輸送テスト等で状態を確認してみるのもよいと思います。
スポンサーリンク