RMA(返品承認)とは何か

2025年1月2日更新

RMA(返品承認)は、英語ではReturn Material Authorizationを略したもので、製品を返品したい顧客とその受け入れや交換・返金を行う販売元とのやり取りを円滑に進めるための仕組みのひとつです。顧客が申請し、販売元や製造元が承認することで返品の受け入れを円滑に行うプロセスでもあります。このプロセスによりユーザー側はシングルストップでの返品申し入れができ、メーカー側は返品の効率的な管理と、返品された製品の返金、不具合対応、交換、修理が可能になります。

RMAプロセスでの返品の基本的な手順

RMAリクエストの提出

購入者や顧客は、返品したい製品についてメーカーまたは販売者にまずは返品やクレームの申請となるRMAリクエストを提出します。このリクエストには通常、製品のシリアル番号(製造番号や型番の場合も)、購入日、注文書がある場合は注文番号、返品理由などの情報を含みます。販売者側が専用の窓口やウェブフォームを提供しているケースもあります。

RMA番号の発行

顧客からのリクエストが販売者側で承認されると、販売者はRMA番号(RMA No.)を発行します。この番号は返品プロセスを追跡するために不可欠となるもので、最後まで使用します。原則、一意で固有の番号が振られます。販売者側がメーカーの場合、この受付対応は品証部門や品管部門が行うことが多いです。RMA番号が分かれば、返品や不具合の要請がいつあったのか、どの販売分なのか、いつ製造されたどのロットのものか、どのシリアル番号のものについてどのような申し入れがあったかトラッキングできるようになっています。

返品手順

顧客はRMA番号の記載された返品ラベルや書面を製品に貼付するか同梱し、指定された住所に送付します。あるいは専用の用紙やフォームがある場合はそれにRMA番号を記載し、現品の箱内に入れる、書類に記載して同梱するという場合も多々あります。返品される製品は未使用または良好な状態であることが求められることが多いですが、工業製品などで機能的な問題や不適合、不良等の場合は使用後でも受け付けることが通例です。RMAの受付が可能な事例は各販売者ごとに定められています。

製品の検査と処理

販売者またはメーカー側は返品された製品を受領・検査・確認します。保証条件を満たしている場合、交換品が送付されるか、修理が実施されます。場合によっては返金が行われます。ユーザーがRMA申請する時点で、希望する対応方法を指定する場合もあります。

RMAの目的とメリット

RMAプロセスを使った返品の仕組みには、顧客と販売者の双方に以下のようなメリットがあります。

RMAの仕組みを使用するメリット
顧客にとって 販売者にとって
不良品を円滑に交換または修理できるため、製品購入時の安心感が得られます。返品時の手続きや窓口が明確化されており混乱を生じにくいです。問い合わせ先が複数にならずシングルストップでの対応が期待できます。 返品の効率的な管理により、顧客満足度が向上し、信頼関係が強化されます。返品や不具合対応にかかるコストの算定にも使用でき、品質不具合の対策の管理にも使用できます。

RMAに関する重要なポイント

期限:
RMAプロセスには通常、返品の期限があります。指定された期間内に手続きを完了するようにしてください。ただし工業製品については特に製造物責任にかかる契約を締結しているものや重要な品質不具合については無期限での補償を行うことを契約しているパターンが多いかと思います。返品する側、受ける側いずれも売買契約をよく確認しておく必要があります。特にwarrantyや
製品の状態:
返品される製品は未使用または良好な状態である必要があります。使用済みの商品は返品の理由によっては拒否される場合があります。
書類の準備:
RMA番号や返品ラベル、返品理由など、必要な書類を正確に記載する必要があります。

輸出入品のRMA利用

RMAシステムを通じて輸出入品を返品する場合、インボイスには以下のRMA関連情報を記載する必要があります:

RMA使用時のインボイス記載事項
記載項目 概要
RMA番号 返品承認時に発行された固有の識別番号を記録します。これは通常、インボイス番号欄またはRMA番号専用欄に記入されます。
返品理由 製品説明欄に「不良品交換」や「仕様不一致による返品」など、返品理由を簡潔に記載します。
購入時のインボイス情報 元の取引との関連付けを容易にするため、購入時のインボイス番号や日付などの参照情報を含めます。
返品製品の詳細 通常のインボイスと同様に、返品される商品の詳細な説明、数量、単価を記載します。
返品先情報 RMAプロセスで指定された返品先の住所と連絡先を明確に記載します。
特記事項 「RMA返品(Returned goods based on RMA)」や「No Commercial Value, Value for Customs Purpose Only」などの文言を追加し、これが通常の商取引ではなくRMAプロセスの一部であることを示します。

これらの詳細を適切に記載することで、税関手続きがスムーズになり、返品プロセスの追跡が容易になります。また、RMA番号を強調することで、販売者の処理が効率化されます。

ただ、取引の態様によっては返品時にnon commercial valueでのインボイスを使用せず、通常の有償取引のインボイスを使って売買の形で返金対応を行うこともあるため、返品先となる販売元・製造元へ事前に返送時の取引形態(無償返送か、有償返送か)を確認するとよいでしょう。

追加の考慮事項

RMAプロセスは製品の種類や販売者によって異なる場合があります。例えば以下のようなケースがあります。

  • 特定の製品では、返品時に元のパッケージとすべての付属品を含める必要がある場合があります。
  • 製品が保証期間外の場合、配送費用や修理費用は顧客負担となる場合があります。

RMAは、円滑な返品を確保し、顧客と販売者間の信頼関係を維持するために不可欠なプロセスともいえます。RMAを適切に処理することで、全体的な顧客体験が向上し、効率的な事業運営に貢献します。一方、販売元やメーカー側でも返品処理や品質不具合管理がしやすいメリットもあります。メーカー目線ではRMAの仕組みを導入してみるのも一考の価値あります。

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