仕入単価DIの意味とは

2022年9月17日更新

仕入単価DIとは、中小企業景況調査の項目の一つで、前年同期に比べて、原材料・商品仕入単価が「上昇」と答えた企業の割合(%)から、「低下」と答えた企業の割合(%)を引いたものを意味しています。このDIはDiffusion Indexの略語で、変化の方向性を示す用語です。原材料・商品仕入単価DIとも言います。

中小企業景況調査は、中小企業基本法で定義される全国の中小企業・小規模事業者約19000社を対象に、商工会及び商工会議所の経営指導員及び中小企業団体中央会の調査員により行われる聴き取り調査のことです。他にも、帝国データバンク等でも実施する調査でも仕入単価DIが調査項目となっているものはあります。

仕入単価DIは0%から100%の間で変動し、目安として50%を超えれば「仕入単価の上昇」、50%を下回れば「仕入単価の下降」と判断されます。この指標は、上昇と答えた企業の割合から低下と答えた企業の割合を差し引いたものであるため、調査を行った母集団の中でのものになります。マクロ的な視点ではこれでよいのかもしれませんが、使用部材がある程度似ている業種や業界によってスクリーニングすると、また違った結果になる可能性はあります。様々な業種をひっくるめて見る経済指標の一つとしては、50%を一つの線引きとして、上昇か下降かを判断している、ということになります。

仕入単価DIを見る場合は、調査対象としている母集団が肝ともいえます。中小企業に限定すると、大手が主流となる原材料メーカーをはじめ、部材を供給する側からの値上げ要請に対して力関係から強く言えないことが多く、特に競合が少ない原材料となれば、卸や販社の言うままに値上げを了承せざるを得ず、原材料価格の上昇がそのまま反映される可能性が高い母集団といえます。

仕入単価の上昇は物価高にもつながる要素となります。原価が上がっても売価へ反映させるといった価格転嫁がすぐに進むわけではないので、仕入単価DIの上昇というのは、調査対象の企業にとっては利益減につながります。企業の収益にかかわると、結果として景気にも影響することになります。原材料の価格上昇は広範な産業にかかわるため、さまざまな製品の原価アップにつながる懸念があります。

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