アロイホイールとアルミホイールの違い
アロイホイールというのは一部の輸入車や海外の自動車メーカーが使用している名称ですが、実態としてはアルミホイールとの違いはないことがほとんどです。というのも、アルミホイール自体がアルミ合金を使用したものであり、アロイ(Alloy)というのは合金を意味する単語ですが、強度が必要となる用途では金属材料は「合金」で使われることが多く、特にアルミニウムの場合はアルミ合金にしないと変形に耐えられず、タイヤのホイールとしての強度を保てません。
アルミホイールとして使われる素材は、Al-Mg系のアルミ合金である5000系でポピュラーな5052系のさらに高強度化したもの、A5154やA6005C相当材が主流です。これらは成形性にも優れる素材です。5000系はアルミ合金の中でも耐食性については最良といわれます。これは合金元素として加えられているマグネシウムが耐孔食性を向上させ、酸化皮膜の成長を促進させるためです。アルマイト処理で装飾に優れた表面にも仕上げることができます。
A5154材は、A5052とA5083材の中間の強度を持ちます。5000系のアルミ合金の中ではチタン含有量が比較的多い素材です。諸外国の規格では5052材が相当材となります。
タイヤのホイールの材質としては、スチール製のものと軽合金製の2種が主流ですが、このうち軽合金製のものの大半はアルミ合金を使用しています。軽合金製のものは軽量化による燃費向上やハンドリング性能・加速・減速といった操作・走行性能の向上に寄与させることが主目的です。一方で乗り心地については軽量化させるとロードノイズの増加等のデメリットもあり、重量のあるホイールのほうが良いとされます。
マグネシウム合金を使ったアロイホイール
軽合金はアルミ合金以外だと、マグネシウム合金を使ったものもあります。軽合金だとチタン合金が他にありますが、自動車用ホイールとしては市販品でほぼ見ることはないと思います。チタンはアルミよりもさらに強度に優れますが、軽さではアルミに分があるとはいえ、耐食性に優れる素材です。
マグネシウムはアルミよりさらに軽く、アルミの比重の約3分の2、鉄鋼と比べると約4分の1程度です。マグネシウム合金の特徴を端的に列挙するのであれば、次の通りです。
- 寸法安定性、くぼみ抵抗性、振動吸収性に優れる
- 冷間加工性が低い
- アルミに比べて高価
- ゆがみにくい
- 軽量化できるが、腐食に弱く、加工が難しい
軽さを求めるのであれば、アルミホイールより軽量化が可能というのが最大の特徴ですが、加工の難度と屋外で常用されることを考えると腐食に対する耐性が課題となります。
この他、特殊な材質を使用しているホイールとしてはカーボンホイールがあります。これは炭素繊維強化プラスチックを使用したホイールで、アルミホイールの25%〜約半分の重量カットできることが特徴で、腐食とも無縁です。マグネシウム合金よりもさらに軽量化が実現できます。ただし高額なうえ、高度な加工技術が必要となるため、製造できるメーカーが限られており、一部の高級車にしか採用されていません。プラスチックであるため、補修は基本的にできず、交換となります。
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