FF、FR、MR、RRの違い|エンジンの場所と駆動方式
自動車のエンジンが車体のどの位置に積まれていて、エンジンから直接動力が伝えられて回転する車輪(アクセルを踏んだら回転する車輪)が前輪のみか、後輪のみか、前後輪すべてなのかという違いによって駆動方式は4WD、FF、FR、MR、RRという5方式に分かれています。それぞれの特徴とメリット、デメリットを以下に比較していきます。
大分類 | 中分類 | 小分類 |
---|---|---|
2WD(2輪駆動) | FWD(前輪駆動) | FF |
RWD(後輪駆動) | FR | |
MR | ||
RR | ||
4WD(4輪駆動) |
- FF、FR、MR、RRの違い|エンジンの場所と駆動方式|目次
国内自動車メーカーは2WDの場合ほぼFFかFR
エンジンの置く位置と方向は、車の重量バランスのほか、客室の広さや車のデザイン、自動車の設計上意図している性格等にも影響してきます。このエンジンの置き場にさらにトランスミッション、デファレンシャルギヤ、プロペラシャウト、クラッチなどの重量があって比較的大型の駆動系の部品をどのように配置・レイアウトするかの組み合わせで、自動車の個性が大きく変わってきます。
駆動方式の特徴とメリット、デメリット
FF フロントエンジン・フロントドライブ
エンジンの場所は前方で、駆動輪が前輪のみの方式です。動力伝達にかかわる部品(トランスミッションやデファレンシャルギアなど)がすべて前方に集中しています。日本の自動車のうち、ミニバンや多くの乗用車タイプで主流となっている方式です。
メリット
- キャビン(客室)が広くとれる
- エンジンやトランスミッションを横置きできるのでエンジンルームが短く(ボンネット)が短くできる(ただし後述のデメリットも)
- 前方のエンジンから後輪に動力を伝えるプロペラシャフトが不要なので床を低くできる
- 部品点数が減らせるので重量を比較的軽くできる
- 製造コスト・開発コストを比較的低くできる
デメリット
- 車の重量バランスが前方に偏る
- カーブする際の外側に膨らむ(想定以上に曲がらないことがある)
- エンジンルームが短いことでフロントサスペンションに大きな構造を持つものが使えず制約が多い(ほとんどストラット式になる)。
- 方向転換や駆動など前輪にかかる負担が大きい
FR フロントエンジン・リアドライブ
前方にエンジンを搭載し、駆動輪が後輪となる方式です。エンジンの回転は車体の下部中心をとおるプロペラシャフトを使って伝えられます。トランスミッションは運転席の横にレイアウトされます。FF方式以前はこちらが主流でした。
高級車やスポーツカー、ワンボックスタイプの軽自動車、軽トラックで採用されています。
メリット
- 重量バランスがよく、前輪はハンドル操作に特化可能。ハンドル操作の反応性に優れ、大きく切ることも容易(ただし想定以上によく曲がることも)。
- 方向転換や駆動は前後輪でともに実施するので前輪の負担が小さい
- フロントの空間に余裕があるので前輪のサスペンションに高機能なダブルウィッシュボーン式も採用しやすい
- エンジンルーム内にゆとりが出てくるので大型・高出力・高トルクのエンジンを搭載できる
- 加速性能がスムーズ
- 重量バランスがよいことでタイヤ交換のローテーションを減らせる可能性がある
デメリット
- エンジンは縦置きになるので、キャビン(客室)が狭くなるか、全長が長くなる。
- 路面で加速した際、雨などで滑りやすくなっているとスピンしやすい。発進・加速した際にカラ滑りしやすい
- プロペラシャフトをはじめ、駆動系の部品が多くなり、設計難度も上がる。
- 製造コスト高くなるため、価格が高くなりがち
- 燃費性能はFF方式に比べると劣る傾向がある
MR ミッドシップエンジン・リアドライブ
エンジンがシート後方、ボディの中央付近や車室と後輪車軸との間に搭載されて、駆動輪が後輪となる方式です。主にスポーツタイプの車で採用されています。レーシングカーもこの方式です。
メリット
- 重たいエンジンが中央にくるので重量バランスがよく、特に高速で旋回しても操作性に優れる。コーナリング性能が高い。
- 重量バランスが良いことで、加速性能も良好
- 方向転換と駆動を前後輪で分担するので、タイヤへの負担が少ない
デメリット
- キャビン(客室)がエンジンやトランミッションの置き場となってしまうので制約がでる
- エンジンの置き場に車内空間をとられてしまうので2人乗りのものが多い
RR リアエンジン・リアドライブ
エンジンが後方に搭載され、トランスミッションやディファレンシャルギアなどの動力伝達にかかわる部品がすべて後部に集められた方式です。FF方式のちょうど真逆です。バスはこの方式です。一部の市販車でもこの方式を使っているものがあります。
メリット
- 重量物が駆動輪の上に集まることでタイヤがスリップせずに駆動力がスムーズに伝わる
- ブレーキをかけると重心が前方移動して4輪のブレーキのバランスがよい
デメリット
- 走行安定性が悪い
4WD
駆動力を効果的に路面に伝えることができる自動車で、前輪、後輪のどちらもが駆動輪になる方式です。基本、エンジンは前方に搭載されています。4WDはベース車がFRかFFかによりレイアウトが異なります。オフロード走行主体に考えられているものはFR方式、雪の多い地域などのためのものはFF方式をベースにしたものが見受けられます。
オフロード用のものから、雪道などの安全性を高める機能を主体にしたもの等同じ4WDでも性能には幅があります。
4WDの駆動方式を持つ車はエンジンが前方に搭載されていますが、現在の4WDは下表の2方式が主流です。
タイプ | 概要 |
---|---|
フルタイム4WD | 常に4輪を駆動させる。デファレンシャルギアがフロントデフ、リヤデフ、センターデフの3カ所に着く。 |
パートタイム4WD | 通常は前輪か後輪のどちらかのみを駆動させて運転者やシステムの指示で4輪駆動に切り替わる。一般には2WD走行時FF方式のものが多い。 |
メリット(2WDと比較して)
- 走行時の安定性がよい
- 駆動力が優れる
- 水たまりや泥、砂地などにはまりにくく、滑りやすい雪道や砂利道の走破性が高い
デメリット(2WDと比較して)
- 部品点数が多くなるので重量がある
- 燃費が悪い
- 車両価格が高くなる
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