FIFOとは|先入先出における在庫管理
FIFOとはFirst In, First Outの頭文字をとった略語で、その意味は先に入れたものから出荷する、の意で用いられる用語で、日本語では「先入れ先出し」とも呼ばれます。この用語は分野によって大きく使われ方が違います。ここでは在庫管理におけるFIFO(先入れ先出し)について述べていきます。FIFOは在庫管理、会計、コンピュータ(データ構造)の大きく3つの分野での意味があります。
在庫管理におけるFIFOは会計の先入先出法とは別
会計用語にも先入れ先出し法というものがありますが、これは企業会計においては、期末に持っている在庫が棚卸資産となり、それをいくらで計上するのかという原価計算方法の一種です。実際の在庫管理がほぼ先入れ先出しを使うため、実態と近い原価になるので多くの企業の棚卸資産の評価方法としては、この先入先出法が使われています。ただし、在庫管理方法にFIFOを採用していることと、棚卸資産の評価方法にFIFOを使っていることは関係がなく、両者が違っているケースも散見されます。
3つの目の意味は、コンピュータのデータの出し入れを表現する方法で先に入ったものから先に出すFIFO(キュー)と、後に入ったものから先に出すLIFO(スタック)という方式の違いを示しています。ちなみに在庫管理の世界でLIFO(Last In, First Out)をやると、最後に在庫に入れたものから順番に出していくので、倉庫が空にならない限り、滞留在庫が半永久的に残ってしまうことになります。在庫管理の現場では、FIFOがきちんとできないと、意図せずにこの状態になってしまっていることがあります。
先入れ先出しがなぜ必要か
先に入れたものから先に出す、ということはつまり倉庫に入っている在庫で古いものから順番に出していくということです。食品のように賞味期限が決まっているものはもちろん、工業製品の多くも品質保持期限があり、品質確保の面からも徹底して行うことが基本ですが、この用語があるということは、先入れ先出しができない状況が往々にしてあるということになります。品質不具合やNG品が出た場合などに、FIFOができていない倉庫だと悲惨なことになるのは、出荷品をどこで止めるのか、どこまで客先へNG品がいってしまったのか、一本の時系列の線ではつながらなくなり、断続的にNG品が広がってしまうことです。
工業製品の多くはロット番号や製造番号などで製造履歴がトレースできるようになっていますが、必ずしもピンポイントで追えないケースもあります。こうしたものについては、先に入荷したものから出荷できるよう、在庫の置き場を工夫しておかないとどれが古いものか見分けがつかなくなってしまいます。
FIFOを行うには在庫の置き場と出し入れのルールを決める
下図のような置き場を作った場合、新しく入荷する貨物をどこに入れるか、どの順番に古い在庫があるかについてあらかじめルール決めしておく必要があります。
このような置き場の場合は、コロコンなどを使って新しい在庫が入ってくると古い在庫が前に出たり、場所移動が簡単にできるようにしておくことが望ましいでしょう。
あるいはラックごとに製品を入れているタイプの在庫置き場では、チップボードでどのラックに一番先に出荷すべき古い在庫が入っているかを誰でもわかるようにしておいておく、という方法もよく使われます。
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