号先とは
号先とはトヨタ用語として使われた場合、号試の前に設けられているイベントフェーズを意味し、早期に車両完成度を向上させることを目的に作られたものです。
トヨタの場合、新しい車を開発し、それを量産するために最初に量産試験を行う目的で車両を作りますが、これを号試、別名1Aと呼びます(試作イベントのひとつ)。この段階で発覚してしまっては遅い問題群があり、よりよい品質(組付け時に問題が起きないようにする)を目指すためにさらに前倒しで量産試験を行うという趣旨がこの号先フェーズの追加です。
ただし号先とはいっても、運用上は、事実上の号試(1A)となります。本型本工程で生産された部品が求められ、荷姿も同等のものが求められます。本工程については可能な限り、という但し書きがつきますが、サプライヤー側は、事実上、開発・生産準備を数か月前に倒す必要があります。号試と同じような運用となるため、号試設変に対応する号先設変もあります。
号先が作られた背景には、号試段階での手戻り防止のためという意味合いが濃く、自動車メーカー側の視点からは例えば号試に先駆けて新車の量産に向けた作業習熟向上や設備や品質の造り込みを行いたいという意図があります。また性能確認車を製造するCVと呼ばれるイベントフェーズでは、本型品で作られた部品で車両を生産しますが、CVの次のフェーズである1A段階で織り込まれる設変をCVとこの号先につなげることで、1Aの前に確認したいという意図もあります。つまり1Aになってみないとわからなかった問題を、事前に検知してつぶしこんでおきたい、というものです。
イベントフェーズの位置づけでは、1Aや1Wの前になるため、それぞれの号試に対応する形で号先A、号先Wが存在することになります。CV(Confirmation Vehicle)のあとは、号先W→〇W→1W→量W、号先A→〇A→1A→量A(量確)→品確→L/O(量産開始)という流れとなります。
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