自動車における販売台数、生産台数、企画台数の違い

2016年6月20日更新

自動車部品メーカーから見た場合、自動車の生産台数というのはすなわち、自社の部品が売れる数量と直結したデータでもあります。このため、自動車メーカーへ部品を直接納入するティア1と呼ばれるメーカーの営業担当は、自動車がどれくらい生産される予定なのか、各メーカーから必ず情報収集しています。1台の自動車に、自社の製品が4つ使われるなら、生産が計画されている台数の4倍の数量を見込んで、生産能力を確保しておかねばなりません。また通常は、台数情報をつかんだ後に、自社のどの部品がどれくらい使われるかというのを集計し、生産を担う各部署へ伝達する役割も担っています。

ある車種の台数がわかっても、たとえばエンジンに附属する部品であれば、ある種のエンジンにはこの部品が使われ、別のエンジンには別の部品が使われるというように、供給部品と台数とは複雑に絡み合っているのが、現在の自動車業界の姿です。加えて、コストを落とすために、同じ部品を複数の車種に使う動きも広がってきているため、自動車部品メーカー側ではまず台数をつかんだら、必ず自社製品へブレイクダウンしていく必要があります。

また国内へ納入する部品には、そのまま国内で組みつけられて自動車になるものもあれば、海外へKD部品として送られるものもあります。台数情報に基づいてブレイクダウンしていくため、この国内品とKD品とは区別して集計していく必要があります。

販売台数、生産台数、企画台数の違い

自動車の販売台数

文字通り、一定の期間に自動車が売れた台数。通常は、車種ごとにみます。部品を供給するサイドから見た場合、この台数が今後どのように動くのかというのが最大の関心事となります。販売と生産にはタイムラグがありますが、大きな潮流をつかんでおくことは重要です。

自動車の生産台数

こちらは上記とは違い、一定の期間内でどれだけの自動車が生産されたかを示す指標です。これも車種ごと、また工場ごと(国ごと)に集計していきます。自動車部品メーカーにとっては、この生産台数が、自社の部品の流動数に直接つながっていくため、重要な数値となります。

自動車の企画台数

上記の二つがすでに生産した台数や、販売した台数といった「結果」であるのに対し、企画台数は計画数を示す重要な指標です。

ある車種の生産予定台数は、企画数や企画台数と呼ばれます。自動車メーカーでは、販売計画に基づいて生産計画が立てられていきますが、部品メーカーにとっての企画台数というのは、今後の流動の見込める台数のことを意味しています。別の言い方をすれば、顧客から提示された新しい車種の企画台数に対応できるだけの生産能力を、指定された期限までには確保しておかねばならない、ということになります。

もちろん、これが売上金額につながっていくわけですが、生産準備という観点で見た場合は、この数字を元に生産能力のキャパシティを決めていくところがありますので、実務において最も重要な指標となるのがこの企画台数というわけです。

どれくらい売るつもりかという点とどれくらい作るつもりかというのはリンクしていますので、 生産を準備する側としては、企画台数とともに、客先側の長期計画(長期購入計画)や三発内示などを参考に、生産する個数を決めていきます。

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