部署名が工務課の仕事内容とは|工務の意味
工務とは使われる業界によって意味や業務内容が全く異なる部署名の典型例とも言えます。何をする部署なのか業種や会社によって変わってしまい、建築業、建設業、住宅業でいうところの工務と、自動車業界や自動車部品業界でいう工務、はたまた各種製造業やメーカーにおける工務とはいずれも違いがあります。したがって、英語で工務という場合は、その業務の実情にあわせた部署名称に翻訳して使うのがよいでしょう。以下、製造業における工務が何をする部署なのかを中心に見ていきます。
- 部署名が工務課の仕事内容とは|工務の意味|目次
工場に関わる事務が工務?
工務の辞書的な意味としては、「土木工事や建築に関する仕事」と「工場内に関する事務・業務」の二つの意味がありますが、実務上は、以下の3つに大別できます。このうち、1は建設業やその隣接業種固有のものとなり、原義に近い意味となります。
一般にもっともイメージもしやすく、工務店といった使われ方をするのもこの1の意味に端を発しています。ただ建設大手、ゼネコンなどで工務という場合は、損益管理や予算管理をする業務であったり、建物の建設に使う資材を発注する業務であったり、仕様変更の顧客との折衝であったり会社によりかなり幅があります。
- 1.建築に関する仕事・業務
- 2.工場内での事務、転じて生産管理や生産計画を組む
- 3.工場や社屋をはじめとする建屋・原動設備の施工・設計・工程管理・それらに付随する受発注や検収管理
上記の2でいう工場の事務をつかさどる部署という意味での「工務」は、多くの製造業においては「製造部」の中に組み込まれており、工場内の事務を行うだけのために一部署を設けていることは少ないかと思います。工場内の庶務に近い位置づけです。
逆に「工務」といった場合は、工場の事務全般、すなわち生産管理や工場の中での生産活動に必要な資材や材料の発注、製造している製品や部材の入出荷管理も含めた業務すべてを担っていることがあります。こうした意味で、工務とはいわば工場での何でも屋ともなる生産管理と同じ意味で使われているケースがあります。
工務と生産管理の違い
ここで疑問となるのは、工場をもつ企業に付き物となる生産管理部と、工務にはどこか違いがあるのかという点です。実際のところ、会社によっては上述の2の意味で定義されている場合は違いがなく、広く生産管理部門の業務すべてが工務に含まれている会社もあります。
例えばトヨタやトヨタグループの多く、あるいはトヨタグループがメインの取引先となる自動車部品メーカーで工務といった場合は、ほぼ生産管理部門のことになります。受発注に必須となるかんばんをコントロールするかんばん室を設けているところもありますが、それらも工務の一部となります。
中にはより統括的な業務や企画業務を総称して「生産管理」とし、部品や製品の物や情報の流れをつかさどる実務面での指令室を「工務」として分けていることもありますが、本質的には同じものを指しています。
したがって、両者に違いがあるかどうかはその会社の工務に位置付けにより左右されるということになります。
一方で、後述する通り、会社内の設備、特に原動力関係や建屋にかかわる施工・メンテナンスを実施する部門として「工務」という名称が使われている製造業・メーカーの業界もあります。
工場や社屋における原動力設備、建屋の施工管理のプロ
メーカーの場合、設備に関わる職種はいくつかありますが、実際その会社で製造している製品に使われる生産設備は、設備技術部門で設計され、生産実務等図面通りのものを如何に効率よく確実に生産するかその運用含めると生産技術部門の所管事項となります。会社によっては製造技術と呼んだりもします。またこれらと並行して、設備保全部門を有する会社もあり、この部門は設備故障や停止に対処する専門の部隊となります。
一方、個々の生産用の製造設備ではなく、工場全体の原動力、例えばボイラー関係であったり、電力関係であったり、こうしたことにかかわる設備は、専門の部署で管理運用されていることが多いです。これがメーカーにおける工務の仕事となります。この分野の「工務」は、大別すれば、建屋管理にする仕事と、動力供給に関わる設備管理に関する仕事、建屋・設備の保守点検や保全の3大分野があります。工務における「資格」がもっとも要求される業務は、この意味での工務部ということになります。
こうした場合、工務が業務範疇としているのは工場やプラントそのものの土台とでもいえば良いでしょうか。事務所内であれば、LAN回線を正しく敷設し、照明やPC電源を供給する、オートロックや認証機能付きのドアであればこうした設備の導入・管理・修繕、排水・水道設備までも含みます。
また、上記設備のほか、事務所の建屋や工場の建屋そのものの設計施工、工程管理に関する仕事、建築図面の管理に関する内容、建築コストの改善、建築の見積査定、建物(附属設備を含む)の購入依頼、検収、不要物件廃売却に関する内容、建築業者との請負契約、動力供給に関する申請届出(電力、エネルギー等にかかる官公庁、諸団体への諸申請、届出、報告)、建屋・原動設備にかかる官公庁、諸団体への申請、届出、報告なども仕事内容に入ってきます。
さらに建屋・設備の保全業務としては、原動設備や建屋の故障修理、日常点検、予防保全業務を実施することになります。
工務を英語でいうと
以上を踏まえると、工務には実際の業務内容を反映させた名称で英訳する必要があります。このため、上記のように工務に様々な異なる業務内容がある以上まずはその部署の業務を同定させることからになります。英語表記例としては、業務内容によって以下のようなものが考えられます。
- Budgetary control Department
- Budget control Department
- Material Purchasing Department
- Plant Engineering Department
- Production general affairs department
- Production control Department
- Production planning Department
- Construction Engineering Office
- Maintenance Engineering Section
- Equipment and Machinery Design Section
予算管理を行う、資材発注を行う、プラント設備の設計・発注管理、生産管理や企画、工場の事務・庶務、保全業務、動力設備機械の設計・運用など実際に行っている業務に合わせて部署名をつける方法が理にかなっています。
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