物流における納場とは何か
納場とは、物流の世界、特に自動車部品の分野では「納入場所の最小単位」のことを意味しています。自動車メーカーによっては、受入と呼んだり、部品庫と呼んだりすることもあり、微妙にニュアンスが異なりますが、本質的には納入場所を細かく区別して行先を明確にするという意図は同じです。通常、取引における納入場所、つまり納品先は工場なり倉庫なり事務所なり住所はひとつのはずですが、その中に同一工場に対しても複数の納場に分けて発注や納入を行うケースがあります。
これは製品の製造に、多数の部品や材料を必要とする業種に特徴的なのですが、一つの工場の中に納入場所が多数存在していることになります。なぜこのようなことが必要なのか以下に背景含めて見ていきます。
物理的な納品場所、製品の置き場は同じであることもありますが、製品の納入場所を指示したラベル/かんばん/納品書などで「納場」を指定し、同じ部品や材料であってもどこで使うものなのかを明確にする意図があります。
自動車を例にとれば、完成車に必要な部材は区切り方にもよりますが、2〜3万前後の部品点数ともいわれており、実際に完成車になる車両工場で使う部品はこれよりも少なくなりますが、それでも数ある工業製品の中でも多数の部材を要する製品であることに変わりはありません。
平たく言えば、納場によって細かく納入場所を指定するのは、以下のような目的があります。
- 車種ごとに生産ラインが分かれておりそれに合わせて納入場所を細かく変えることで、部材の振り分けを間違いなく効率的に行う
- 部品の種類や納入業者によって納入場所を細かく分けて効率的に管理する
- 部品が使われる目的にあわせて納入受け入れする場所を変える(補給品や量産品、海外KD向けなどで分ける)
部品ごとに使用する生産ラインが違ったり、納入した工場からまた別の工場(国内・海外)に移送されるなど複数の行き先がある場合、納入先の住所が同一であっても、何らかの識別なしには大量の部材をさばくのは困難と言えます。。自動車メーカーの例でいえば、工場を多数持つとはいえ、工場単位の納入では、部品がどこに行くものでどこ向けのものなのか簡単に分類することが困難になります。大量の部品を扱う業界・業種ならではの工夫と言えます。
スポンサーリンク