OEMとは|自動車におけるOEMやOESの違い

2020年7月20日更新

OEMとはOriginal Equipment Manufacturerの頭文字をとった略語で、通常は他社ブランドの製品を製造する委託業者や委託生産、あるいは他社ブランド自体を製造することを言います。しかし、これが自動車業界や自動車部品業界で使われると、意味が異なり、自社ブランドで製造するメーカー、つまり完成車メーカーのことを意味する用語となります。

このあたり、異業種から自動車業界や自動車部品業界に入ると面食らうかもしれません。車の生産は、OEMとなるカーメーカーとそこへ部品や材料を納入するサプライヤーの構造で成り立っています。部品の視点で見た場合、納入先、つまり客先はOEMやTier1、Tier2といったサプライヤーとなります。

一方で、OEM車という言い方がなされることもありますが、これは他業界と同じ意味で、つまり他社のカーメーカーブランドで車を製造する、という意味で使われる用語です。

例えばトヨタのライズは、ダイハツがロッキーとともに製造しています。同じくトヨタのピクシスメガも、ダイハツがウェイクとともに供給する車種となります。

他にもマツダのフレアを供給するのがワゴンRの製造元であるスズキであったり、三菱のeKワゴンと日産のデイズといった具合に、ほとんどの自動車メーカーでOEM車は存在します。

サービスパーツ市場におけるOEMとOESの区別

同じ自動車分野で使われる用語でも、上記で使っているOEMとはまた違った意味で使われる状況があります。補用品や補給品、あるいはサービスパーツとも呼ばれる自動車部品を交換するときなどのシーンで使われる場合、OEMは本来他業界で使っているのと同じ意味で使われることがあります。

すなわち、OESはOriginal Equipment Supplierの頭文字をとった略語で、純正部品やその製造元であることを意味し、OEMのほうは自動車メーカーからお墨付きはもらっているものの、本来その車が量産で作られていた時とは別の部品メーカーで作られたもの、ということになります。つまりOEMの原義に使い意味となります。

またサービスパーツの世界では、OESでもOEMでもないものもあります。アフターマーケット用部品などとも言われますが、改造用やグレードアップ用の自動車部品を思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。これは自動車メーカー側が承認していない、関与していない部品です。OESが純正、OEMが純正ではないが自動車メーカー公認、Aftermarket parts(アフターマーケット用自動車部品)は、自動車メーカー非公認の部品となります。部品交換の際、OESが間違いないといえばその通りなのですが、OEMも互換性が保証されている製品となり、Aftermarket partsにしても高性能なものは存在します。

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