車種、車名、車型、車格の違い
車種、車名、車型、車格はいずれも自動車の分類を意味していますが、その使い分けについては一般的に使われている意味と、固有の業界で使われている意味とに違いがあります。慣用的な使われ方も多く、使う人によってはあまり深く意味の違いについて意識せずに使用することもあり、文脈から判断していく必要があります。以下にその内容と使われ方についてまとめていきます。
車種
まず、保険業界における車種と、自動車業界の車種は意味が違う点に注意が必要です。
広辞苑では、「自動車・鉄道車両などの種類のこと」を車種と定義していますが、では自動車の種類とは何なのかという疑問が出てきます。
自動車業界では、車種とは「車の種類」、つまり車名と同じ意味で使われています。
保険業界では保険料率算定のために自動車の種類を分類しており、これは車の大きさや構造、機能といった点から大きなくくりでカテゴライズしたものです。したがって、この場合の車種とは具体的な車名ではないことになります。
例えば、用途での車種分類であれば「普通乗用車」「小型貨物車」「軽四輪乗用車」といった分類です。自動車のボディタイプで分類する「車種」であれば、「SUV」「セダン」「スポーツ」「ステーションワゴン」「ワンボックス」等が該当します。
車名
自動車メーカー各社が販売の際に用いている車につく固有名称です。口語では「車名は何?」と聞くよりも、「車種は何?」と聞くほうが多いかと思います。
一般的に「車種は?」と聞かれた場合、上述の普通車かどうか、SUVかどうかといったことを聞いているのではなく、車名を尋ねていることになります。
車名が同じでも複数の異なるグレードが存在し、これらは車型でないと区別・識別ができません。
車型
車両型式を略して車型と呼びます。車のモデルごとについている固有のアルファベットと番号のことです。車種が同じでも複数のモデルがある車の場合、車型を知らないと正確に識別できません。
コーションプレートのMODELの部分に書かれている記号になります。この車両型式は、自動車のカタログでもある主要諸元表にも記載されています。
自動車部品は車型単位で変わることから、自動車部品の業界ではよく使われています。
車型が特定できれば、メーカーや車名、車種だけでなく、使っているエンジンやグレードが複数ある場合どのグレードなのか、車体の形状、排気量等もわかります。
新車の量産開始(立ち上げ)などは、「車型」単位で見ます。車種立ち上げとは言わず、車型立ち上げと言うことが多いです。現行モデルの車のことを現行車型と呼び、新車を新規車型と呼びます。
原則、モデルチェンジすると車型も変わることになります。同一プラットフォームでの車型違いという場合も、同じプラットフォームですべて同じ仕様の部品を使っていない限り多数存在しますので、区別が必要となります。
車格
簡単に言えば、車の大きさの分類のことです。マーケティング分野ではセグメント、プラットフォームと呼ばれることもありますが、車格と用語を区別して使い分けているケースもあります。
車格の決め方にはいくつか種類があり、方法は統一されていません。国・地域や分類者、分類する目的によって内容が異なりますので注意を要します。
- 自動車の全長で分類
- ホイールベースで分類
- 全長+ホイールベースで分類
- エンジンの大きさ(排気量)で分類
- 重量で分類
自動車部品の視点での使われ方
なお、自動車部品の業界では会社にもよりますが、車名という言い方はあまりせず以下のように使い分けられています。
用語 | 使われ方 |
---|---|
車型 | 新車の立ち上げ情報から社内のスケジュール立案などすべてこの車型の情報をもとに実施。昨今は部品の共通化が進んでいますが、車型が違えば、理論上、部品が違ってもおかしくないため、この単位で検討。自動車部品の場合、新車が立ち上がる前から開発・準備しているため、自動車メーカーから開示されている「開発コード」と呼ばれる車ごとの固有の記号(アルファベットや数字)で日程管理・識別されています。車種が同じでもモデルが違えば、固有の部品が適合しない(スペックが違う等)ケースもあります。 |
車種 | 車名と同じ意味で使用。自動車メーカーから車種ごとの生産台数や計画予定等の情報が展開されるため、こうした情報取得の際に活用。自動車部品メーカーでは車型で動くため、使われ方は限定的になります。 |
車格 | 担当がセグメントやプラットフォームごとに分かれていることが多いため、マーケティングやその分類のために使用。開発や設計は、「部位」や客先である自動車メーカー別に分かれていることがほとんどです。 |
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