すぐりとは

2023年12月17日更新

自動車のサスペンションの一部品であるゴムブッシュに使われる「すぐり」とは、ゴムの部位に作った「凹み」「空隙」「空間」のことを意味しています。スグリにはそもそもいろいろな意味があるのですが、工業分野、それも自動車等の輸送機器の分野で使われる場合は、この用法として使われていることがあります。

自動車の乗り心地をよくするため、路面からの振動を軽減したり、自動車のエンジン等内部機構から発生する振動を車内に伝えないようにする各種の工夫がなされています。サスペンションはこの走行時に路面から伝わる不快な振動・騒音を軽減する機構を備えていますが、その中にサスペンションリンクの中に挿入されるゴムブッシュがあります。簡単に言えば、金属の円筒の内側と外側の間に、加硫したゴムが接着されている部品です。

ゴムがあるので振動を吸収(減衰)させますが、このゴムの内部に空隙(中空)を作るというのは、路面から受ける振動の複雑さや自動車の走行時に発生する力に対してどれだけ剛性を持たせるかといった点と関連があります。

サスペンションには様々な方向から各種の力がかかりますが、ブッシュをやわらかくしていけばよいかというとそうでもありません。やわらかいと耐久性が下がるうえに、操縦安定性が損なわれてしまいます。とはいえ、逆にブッシュの強度を画一的に高めてしまうとゴムの硬度が上がるので、今度は乗り心地が悪化します。 こうしたことから、ある方向からの力に対しては硬さを維持し、ある方向からの力に対してはやわらかさを保ちたいという複雑な要求が発生してきます。こうした場合、ゴムの中に空間を作ってやることで、ある方向に対してはゴムの量が減りますので、ばね定数の調整をはかることができます。

ゴムの中にすぐりを作るのはこうした発想に基づいています。すぐり入りブッシュ、あるいはすぐりブッシュという名称で呼称されています。作り方としては、ゴムの加硫時にインターリングと呼ばれる金属や樹脂を入れておき、その部分にはゴムがまわりこまないようにしておくと、加硫後にその部分がへこんでゴム量が減ります。

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