タクトタイムの計算方法

2021年12月10日更新

タクトタイムとはラインタクトともいい、製品1個当たりの作るべきスピードのことを意味しています。トヨタ生産方式で使われる用語で、計算方法は「タクトタイム=日当たりの定時稼働時間÷日当たり必要数」となります。

例えば8時間(480分)が定時勤務として、1日当たり必要な製品が160個とした場合、480分÷160個=3分/個となり、これがタクトタイム3分ということになります。1個作るのに3分でやるべき、ということになります。和製英語ですが、トヨタ生産方式になじみがある分野や会社だとtakt timeで話が通じます。

タクトタイムの計算式

このことから、タクトタイムの単位は時間/個となります。通常は秒か分が使われます。

ポイントは、結果として現状1個作るのにかかっている時間のことではなく、「1個作るのに何分で作らないといけないか」というあるべき姿を示している点です。現状の実績ベースで、1個作るのにかかっている時間を示す場合は「サイクルタイム」という言い方がなされます。サイクルタイムを短縮するということは生産能力を向上させることと同義です。

タクトとはオーケストラの指揮者がもつ指揮棒のことや音楽用語でいう拍子や拍節を意味しています。これに時間を意味するタイムという言葉が付けられた造語ということになります。皆が一定のリズムでまるでオーケストラで演奏するかのごとく動くイメージです。タクトを与えるということは、準備する時間を与えるということでもあります。

これはモノづくりを担う工場に対して、生産管理がタクトタイムを製造現場に与えることで動かしている、という文化の中で生まれた概念です。工場に対しては、売れるスピードのデータを与える、工場はタクトで見込みを元に作るということになります。

売れる個数、出荷すべき個数が分かっていないとこの考え方でのモノ作りは困難となります。平準化生産との相性がよい概念とも言えます。

トヨタ生産方式(TPS)として知られるジャストインタイムでは標準作業の実現がマストとなりますが、それを実現する一つがこのタクトタイムという考え方です。ジャストインタイム実現には、以下の3つが基本原則となります。

  • 1.後工程引き取り
  • 2.工程の流れ化
  • 3.必要数でタクトタイムを決める

「作るのに何分かかるので、納期はこれくらいになる」というのとは反対で、納期がいつなので「1個作るには何分で作らないといけない」という具合に発想が真逆になっている点がポイントです。

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