自動車の燃料タンクの材質とは
自動車の燃料タンクの材質は、現在は金属にかわって樹脂・プラスチックが主流となりますが、金属製を採用している車種や車型も依然あります。一昔前のタンク=めっきを施したシームレスな金属という常識は大きく変わっています。
一説には欧州では9割、アメリカでは7割近くの車でプラスチックの燃料タンクが採用されています。
プラスチックの中でも、PE(ポリエチレン)とEVOHと呼ばれるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂がタンクの材質としてはよく使われます。これはガソリンを入れるものであるため、優れたガスバリア性が求められることと関係しています。金属のガスバリア性能は、樹脂とは異なり、完全な性能を持ちますので、金属製のタンクから問題のある気体が透過して出てしまうということが起きませんでした。タンクからのガソリンに由来する燃料成分の透過は、健康被害や光化学スモッグをもたらすため、これが解決できない材質の使用は難しい状況でしたが、現在使われている樹脂タンクは優れたガスバリア性能によりこの問題が解消されています。
これら樹脂素材の最大の特徴は、金属でのネックとなる錆と無縁、軽い、形状の自由度が挙げられます。金属製のタンクを採用した場合、錆を防止するためにコーティングが必要となり、そこへ鉛などが使用されると環境負荷の問題も出てきます。
一方、金属製の燃料タンクのメリットは皆無かと言われればそうでもなく、破壊強度の面では依然アドバンテージがあるものが多いため、コスト・効果のバランスもあり、現在も金属製を採用している車種はあります。
自動車の軽量化は燃費・環境負荷の影響で避けて通れない部分で、プラスチックの採用で大きく軽減できる点がアドバンテージとなります。また形状の自由度も車のデザイン・設計の自由度に寄与します。金属では高コストもしくは作ることが困難な形状でも、樹脂なら型次第で実現できてしまいます。
下表に燃料タンクの材質を車種別に一覧にしたものをまとめます。
メーカー・車種 | タンクの材質 |
---|---|
トヨタ C-HR | 9割近くがPE。燃料タンク重量は8.2kgほど。 |
ホンダシビック2.2 | EVOHであるE-VAL(エバール)やPE、POMを使用 |
ホンダCR-V | PEやEVOHを使用 |
BMW 5 Series 3.0 | PEを使用 |
BMW 3 Series | 20%超はステンレス、アルミ合金 |
BMW X3 | 材質の9割はPE |
Lexus GS | PEを採用 |
トヨタ プリウス | 9割近くの素材にPEとEVOHを使用。 |
Mazda CX-5 | スチール製 |
三菱アウトランダー(PHEV) | スチール製 |
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