TS規格とは何か|トヨタにおける材料規格

2021年4月25日更新

TS規格といった場合、文脈により二つの意味があります。一つはISO規格の自動車メーカー版ともいわれるTS16949のことを意味している場合です。もう一つはトヨタでの材料規格を意味している場合です。ここではこの後者の内容について説明していきます。

トヨタの材料規格であるTS規格は、TSG〜、TSH〜、TS〜といったTSからはじまる規格番号を持ち、同社との取引で図面などで指定される場合があります。あるいは同社から支給部品を受けて製品を製造するような場合、その支給品の材料がTS規格に基づいたものだったりします。JISでの材料記号が指定される代わりに記載されていますので、トヨタとの間接的に取引を行っている企業であれば目にしたことがある方も多いかもしれません。

日本では工業製品としてJIS規格が主に使われるほか、各社の社内規格も多数存在します。特に図面で指定する「材料」の部分については、JISによる材料記号がよく使われますが、「相当材」という表現で同等の材料であればよいとされることもあります。

社内規格を制定する目的は、生産している製品や自社固有の条件に合致した規格を制定することで、一般の規格ではカバーできない部分をおさえておくことのほか、設計の効率化や品質・技術のレベルアップ、競合他社に容易に真似できないようにする、他社との差別化等をはかる狙いがあります。公的規格の場合、自社の製品に特化しているわけではなく、あくまで規格側につくるものを合わせていく必要があります。

このため、JIS規格に比べると精度や範囲がより厳しくなっていたり、そもそも規定がない部分について定められたりしているものがあります。

社内規格は社外に公開するメリットがない為、取引先(仕入先)との間で取り交わす承認図面などで規定されていることがありますが、規格の詳細が対外的にオープンになっていることはほぼありません。

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