英語の同上や同左の記号
同上は英語でsame as aboveやditto(略記号:do.)、idem(略記号:Id.)といいますが、記号で表すと「"」(英語圏)、「''」や「,,」(主としてドイツ)となります。この「"」「''」「,,」はditto markともいいます。使い方は日本語の場合と同じで、この記号が使われた箇所はこの記載箇所の上の部分と同じ内容ということを意味します。中国や韓国でも同じ使い方をします。フランスでは「−」、カナダのケベックでは「>>」が使われることがあります。
同左も同様にsame as leftやsame as on the leftといい、同右もsame as rightやsame as on the rightとなります。慣用的に矢印の記号で代用されることもありますが、いずれも同上の表記は公式文書にはそぐわないこともあることを念頭に置いておく必要があります。
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同じものを示すDittoのバリエーション
Dittoそのものは同上だけでなく、前と同じことや前述のようにという意味のほか、コピーする、同じ行為や言葉を繰り返すことも意味します。口語では転じて、同意を示したり賛成したりする際の表現としても使われます。1600年頃イタリアトスカーナの言葉から英語に移植されたものです。
古い文書でも箇条書きになった文章のうち、上の文章と同じ単語の部分を「"」で表記している事例が残っています。下記のように、粒度違いの研磨材でabrasive powderを一番上のものと同じにしたいという場合の表記方法です。
- #200 abrasive powder ... 500 JPY
- #500 " " ... 600 JPY
- #1000 " " ... 700 JPY
- #200 abrasive powder ... 500 JPY
- #500 do. do. ... 600 JPY
- #1000 do. do. ... 700 JPY
#500と#1000はいずれもabrasive powderですが、この2語の単語を同上の記号で省略する形に表記になっています。
バリエーションを図で示すと下表のようになります。A、B、Cのそれぞれ3製品で単価が20USDとした場合、BとCの欄に「"」や「,,」を入れるとAと同じということを意味します。
同様に隣の項目のdelivery dateのように、同上を意味するsame as aboveと記載することもできます。
またditto(同上)の短縮記号であるdo.を記載する方法もあります。Id.の略記号は、ラテン語のidemからきており、この表現は論文の引用文献などで同上と表記する場合によくみられる表現になります。
なお、上記の例では単価や重量、MOQ(最小発注単位)の例で同上を示していますが、こうした内容の場合は見た目や手間の問題があったとしても「同上」を使わずに、実際の数値を記載すべき部分です。契約事項等の重要項目であり、取引相手から都合の良い単価に解釈されてあとで「同上」とは一体どの部分と同じと言っていたのかわからなかったと抗弁されても面倒です。
諸外国の公式文書も同上表記を認めていないものが多々ありますので、使用する際には誤解がないよう気を付けたいところです。
矢印記号での同上、同左
なお、矢印を使って同上や同左を示す方法は日本語でもよくあります。ホワイトボード等に手書きで手早く議事をとりながら会議を進行しないといけないような場合、矢印で同じ部分を省略できると非常に便利です。また表などで項目が複数がある場合、「"」では同上しか示せないので、矢印で縦横無尽に同じものにしたい範囲を矢印でひけてしまえば記載が楽になり、見やすくもなります。
ただしこの使い方は万国共通というわけでもなく、思わぬ誤認につながることがある点に注意したほうがよいでしょう。一般には下表のように、「同じもの」を意味する文言を起点として矢印をひきます。
- | Unit price | Unit price |
---|---|---|
A | ↑ | 20 USD |
B | ↑ | ↓ |
C | 20 USD | ↓ |
ただし、矢印の指し示す方向と同じ、という下表のような表記方法もあります。
- | Unit price | Unit price |
---|---|---|
A | ↓ | 20 USD |
B | ↓ | ↑ |
C | 20 USD | ↑ |
「上に同じ」という言葉そのものを矢印に変換するなら、この表記のほうがしっくりくることになりますが、どこでも共通している用法ではないことに留意する必要があります。
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