研磨材の粒度 | 種類によって違う規格
粒度とは何か
ある対象を磨くときには、どれくらいの粗さの研磨材を使うのがよいのか検討することになると思います。この研磨材を構成する「粒」の粗さが粒度(りゅうど)です。
ものを磨くということは、その物体の表面をミクロレベルで削り取るということと同じ意味ですが、このときに削り取る役割をするのが砥粒とよばれる研磨材の粒そのものです。この砥粒の直径が分かれば、おおよそどれくらい深く加工対象の表面から削り取るのか、加工条件(圧力、研削液、水、回転数、送り速度など)と照らし合わせて検証することもできます。また過去のデータからも理論的にこれくらい深く切り込む、というのはある程度はわかっていますので、目標とする面粗さを実現するために必要な粒度と研磨条件の見当をつけることができます。
研磨材の種類によって異なる粒度の基準
研磨材の粒度を調べるときに最も留意すべき点が、これから使おうとしている研磨材料の砥粒がどの規格に基づいて作られたものであるのか、という点です。研磨材や砥石というのはすべて同じ粒度の規格が定められているわけではありません。まず砥粒の種類により違います。また研磨布やサンドペーパーに使われる研磨材と、研削砥石(もしくは砥石車)で使われる研磨材とでも粒度の大きさの規格が違います。
また、統一した規格がある場合、ない場合ともにメーカーによって若干分布に違いがあったり、研磨材の独自性を出すために複数の粒度を混合する場合もあり、同一条件で比較するのが困難とも言えます。 以下の表は、JIS規格に研磨材の粒度の規格があるものとないものの一例を列挙したものです。
研削、研磨というのは砥粒がワークの表面を削る現象ですが、砥粒は微小破砕といって、細かく砕けながら鋭利な面を突き出して対象を引っ掻いていきます。したがって、砥粒の規格上のサイズが同じでも、形状や割れやすさ(「破砕性」といいます)や強度(靭性)によって性能が大きく変わります。砥石と、加工対象との「相性」を見るときに重要となる指標と言われる所以です。
ある表面粗さを実現しようとするとき、最も大きく影響するのがこの粒度ですが、他にも種々の要素が絡み合っていますので、あわせて検討していくことが重要です。
規格の有無 | 研磨材の種類 | 対応JIS規格 |
---|---|---|
規格のあるもの | ダイヤモンドとCBN(超砥粒)のうち、16から325までの粒度 | JIS B 4130【ダイヤモンド/CBN工具−ダイヤモンド又はCBNと(砥)粒の粒度】 |
一般砥粒を使った研削砥石の粒度 | JIS R 6001【研削といし用研磨材の粒度】 | |
一般砥粒を使ったサンドペーパーや研磨ベルト、研磨布紙 | JIS R 6010【研磨布紙用研磨材の粒度】 | |
規格がない、もしくはメーカー基準によるもの | ダイヤモンドとCBNのうち、400番を超える粒度 | 分級(砥粒を大きさによって分ける)方法がメーカーにより異なり、特に決まった規格はありません |
研磨布紙や研削砥石に該当しない研磨材の粒度 | - |
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