HSコードを間違えたらどうなるか
HSコードは日本語では関税分類番号と呼ばれるように、関税を決めるために使っています。したがって、HSコードを間違えると、輸入時の税金が変わってしまうため、過大に支払ってしまったり、逆に本来払うべき税金よりも過少に支払うことになってしまいます。過少の場合は、あとで追徴課税という形で支払うことになります。
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HSコート間違えによる追徴課税
ほとんどの国では関税をのせたCIF価格(輸送費と保険費が載った購入価格)に、消費税などの付加価値税をのせる仕組みになっていますので、関税がかかる品目の場合、こうした消費税の支払いも過少となってあとから追徴となることがあります。
- 関税等税金の計算方法
- CIF価格×関税率=関税額
- (CIF価格+関税額)×消費税=消費税額
- 税金としては、関税と消費税の双方を納める。
追徴で支払う場合は、本来支払うべき時から時間が経過して延滞しているわけなのでそれらの期間分と、間違えたことによるペナルティ分の税金が加算されます。
日本の場合は、関税を無税にしている製品が多いため、支障が出ないこともありますが、後述する問題もありますので、正しいHSコードで輸入申告をする必要があります。郵便局にしろ、DHLやフォワーダ等の輸送業者に依頼するにしろ、輸入するには税関から輸入許可を得る必要があり、その時の輸入申告書にはその品物が一体なんであるかを示すための分類番号となるHSコードの指定が必須です。
フォワーダ等の輸送業者に依頼する場合は、HSコードを調べずとも輸入しようとしている物品が何かの詳細な説明をすれば、フォワーダの通関士がHSコードを輸入申告書に記入してくれます。
規制品目の輸入に対する違反
関税の支払い漏れや過払いのほか、もう一点、HSコードを間違えると実務的な面での支障があります。
輸入する際に特別な許可が事前に必要な品目は、各国税関ではHSコードでその許可の要否を判定しているのですが、これを間違えることで本当は事前の許可申請がやライセンスがないと輸入できないものが、誤って輸入できてしまったり、反対にライセンスの要らないものが輸入できずに通関で止まってしまうという事態になることがあります。
国によっては自国の産業を守ったり、税収を確保する等の意図から特定の製品を輸入しにくくしたり、あるいは余計に費用がかかるようにしたりといった制度により、何らかの規制をかけていることがあります。
このときに、故意にHSコードをライセンスの要らない番号に変えて輸入申告等を行えば、罰則として追徴金等のほか、輸入ライセンス自体の剥奪等につながることもあります。
HSコードが事前にわからない場合や迷う場合
HSコードは輸入者自身や輸送業者、通関業者が輸入申告の際に記入しますが、最終的にそのHSコードでよいかどうか判断するのは税関です。
事前に関税がこれくらいかかるので、販売価格はこれくらいにしようとか、この品目は輸入時にこの種類のライセンスや許可申請が要るので事前に申請しておこうとかそうしたことは、HSコードに目星がついており、通関の時に予想した通りのHSコードにならないと成立しません。
このため、輸入する前に、税関に対して製品の説明を送りあらかじめHSコードを教えてもらう制度があります。これが事前教示制度と呼ばれているもので、税関から書面で事前教示回答があったものは、実際の輸入申告の際にもその時の判断が考慮されます。
したがって、どのHSコードになるかによってかなり関税額に差が出てしまう場合や、事前許可の有無が変わる等の場合は事前教示制度を使っておくとよいでしょう。この制度は他国にもあり、その有効度(実際の輸入時にどれくらい事前教示の内容が考慮されるか)は国によりけりではありますが、一考の価値はあると思います。
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