形状記憶合金の種類と成分の一覧
形状記憶合金とは、変形された金属をある一定以上の温度にしてやることで変形前の形に戻る性質を持つ合金の総称です。端的に言えば、ある温度で、決まった形状(金属組織)を保っていた金属が、高温相が安定になる温度以上に加熱されると「逆変態」と呼ばれる現象により、変形する前の状態に戻ろうとする性質を利用した材料になります。
形状記憶合金は、その成分によって形状を元に戻す逆変態を起こす温度が異なります。以下の表にある逆変態開始温度というのがこの形状を元に戻そうと動き出す温度になります。変態開始温度との差が小さいものほど、より少ない駆動力で形状を元に戻すことができます。形状記憶合金が使われている製品でわざわざ加熱しなくとも形状が戻ったりするのはこのためです。
合金の成分(%) | 変態開始温度(℃) | 逆変態開始温度(℃) |
---|---|---|
Ti:Ni=50:50 | 60 | 78 |
Ti:Ni=49:51 | -30 | -12 |
Ag:Cd=55:45 | -74 | -80 |
Au:Cd=52.5:47:5 | 58 | 74 |
Cu:Au:Zn=29:45:26 | 57 | - |
In:Tl=79:21 | 60 | 65 |
In:Cd=95.6:44 | 40 | 50 |
Ti:Ni:Cu=50:20:30 | 80 | 85 |
形状記憶合金の応用例
コストの問題はあるものの、形状を復元することができるという特異な性質から、実用例、応用例の研究が進められています。現在では以下のような分野での研究・使用実績があります。
- 航空・宇宙分野
- 自動車用部品(エンジン、ボディーなど)
- 電子機器・集積回路
- 医療用、生体材料
- 窓の自動開閉
- 歯科用矯正金属
- 電気炊飯器
- 婦人用下着(ブラジャーのカップのワイヤーなど)
- パイプ継手
- 自動開閉弁(温度・温水)
- コネクタ(締め付けピン)
- 熱感応装置(火災報知器)
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