ADC10の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴

2013年5月4日更新

ADC10は、アルミダイカストのうちAl-Si-Cu系合金で、Siを多めにすることで鋳造性をあげたタイプです。砂型・金型でのアルミ鋳物ではAC4Bがこれに相当します。

ADC10の特徴

また、被削性、鋳造性のよさのほか、Cuを添加元素とすることで強度も向上させています。アルミダイカストの中では強度に優れつつ、鋳造性もよい部類でバランスのよいタイプです。機械的性質の優れた耐圧性のよい製品もできるため、よく使用されます。ただADC12と似たバランスを持つものの、使用量に関してはとうてい及びません。合金としては、A380.0に相当。

用途は、自動車用としてシリンダーブロック、トランスミッションケース、シリンダーヘッドカバーなど、また二輪車用ショックアブソーバー、農機具用ケース類、VTRフレーム、カメラ本体、ハードディスクケース、電動工具、ミシン部品、ガス器具、床板、エスカレータ一部品、その他アルミニウム製品のほとんどすべてのものに用いられていますが、流通の問題もあり、ADC12に比べると適用される箇所は大幅に少なくなります。

ADC10の比重

ADC10の比重は2.70となります。

ADC10の成分、組成、材質

ADC10の成分
種類 成分
Cu Si Mg Zn Fe Mn Cr Ni Sn Pb Ti Al
ADC10 2.0から4.0 7.5から9.5 0.3以下 1.0以下 1.3以下 0.5以下 - 0.5以下 0.2以下 0.2以下 0.30以下 残部

ADC10の機械的性質|引張強さ、伸び、耐力、衝撃強さ、せん断強さ、硬さ

ADC10の機械的性質
種類 ADC10
縦弾性係数(ヤング率)
GPa
71.0
引張強さ
MPa
320
耐力(0.2%変形)
MPa
160
伸び(50mmでの)
3.5
衝撃強さ
kJ/m2
85
せん断強さ
MPa
190
疲れ強さ
MPa
140
硬度
HRB
51

ADC10の熱的性質、電気的性質|比熱、熱伝導率、熱膨張係数、凝固温度、電気伝導率

ADC10の物理的性質、熱的性質、電気的性質
比熱
J/(kg・K)
963
熱伝導率
W/(m・K)
96
電気伝導率(銅基準)
23
熱膨張係数(293から473K)
22
凝固温度
593から537

アルミダイカストの一覧|JIS規格

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